【2月15日 AFP】陸上女子中距離の五輪金メダリスト、キャスター・セメンヤ(Caster Semenya、南アフリカ)が14日、母国の首都ヨハネスブルクで行われた競技会に出場し、高校生アスリート7人を制して優勝した。同選手が競技に臨むのは、昨年7月に得意種目への出場を禁じられて以降これが初めてとなる。

 ヨハネスブルク大学(University of Johannesburg)で行われたレースで、300メートルを36秒78で制したセメンヤは、普段はシャイな表情を浮かべるメディアとのインタビューで、「私はここにとどまる」「陸上界は、これからも私の顔を見ることでしょう。今言えることは、これだけ」と強調した。

 29歳のセメンヤは、800メートルで2012年ロンドン五輪リオデジャネイロ五輪の金メダルに輝き、世界選手権(IAAF World Championships)でも3度のタイトル獲得を果たしているが、テストステロン(testosterone)値に関するワールドアスレティックス(World Athletics、世界陸連)の規定により、同種目に出場することが不可能となっている。

 世界陸連は、男性ホルモン値が基準より高い「高アンドロゲン」もしくは「体の性のさまざまな発達状態(性分化疾患、DSD)」の女子選手に対し、テストステロン値を下げる治療を受けなければ、400メートルから1マイル(約1600メートル)の種目に参加できないとしている。

 このため、セメンヤはタイトル連覇が懸かっていた昨年の第17回世界陸上ドーハ大会(17th IAAF World Championships in Athletics Doha)に出場できなかった。また、このまま考えを変えずに治療を受けなければ、今年の東京五輪も欠場することになる。

 主催者は今回の招待レースを開催した目的について、若手アスリートが「キャスター・セメンヤのようなスター選手を見学し、学び、刺激を受ける機会」を与えるためと説明した。

 こうした状況の一方で、セメンヤはヨハネスブルクを本拠地とするサッカークラブJVW FCと契約を交わし、サッカー選手として今年デビューすることになっている。同クラブはサッカー南アフリカ女子代表の主将で、名前のイニシャルが同クラブの名称になっているジャニーン・ヴァン・ウィック(Janine van Wyk)氏が所有している。

 セメンヤは同クラブで昨年から練習を行っていたが、契約が登録期限に間に合わず昨季はプレーできなかった。(c)AFP