【3月16日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の移民政策をめぐり、論争が激化する米国。人里離れた場所で、米国を目指す中南米からの移民の波に最前線で向き合うのは、緑色の制服に身を包んだ国境警備隊だ。

 AFPはこのほど、テキサス州の国境警備隊に3日間同行し、前線を守る警備隊の日常を取材した。

「生まれた場所が違っていたら、われわれも同じことをするだろう」──テキサス州サンダーソン(Sanderson)の国境警備隊のサデウス・クリーブランド(Thaddeus Cleveland)氏は、日々出会う移民について語った。

■警察官、警察犬、救助隊の間のような任務

 国境警備隊は米メキシコ国境で、複雑な任務を果たす。警察官、警察犬、救助隊の間のような役割だ。

 徒歩や馬、トラック──巡回の形はさまざまだ。暗視ゴーグルや人感センサー、カメラや麻薬探知犬などを用いるが、テクノロジーよりもノウハウが、逮捕の決め手となることも多い。

 クリーブランド氏は、警備隊員の追跡スキルについてこう話す。「われわれは足跡を探す。土がないところでは、蹴られた石や壊れたブラシといった物を探さなければならない。これらは、誰かがその場所を通過した証拠になるからだ」

 ビッグベンド(Big Bend)地区では昨年、およそ500人の警備隊員が、1624人の不法移民を拘束した。これは、ほんの一部にすぎない。2018年10月~2019年9月の1年間に逮捕された不法移民は、100万人近くに上る。

 警備隊の仕事は、法を守らせることだけではない。救命を担うこともある。

 プレシディオ(Presidio)の国境警備隊のデレク・ボイル(Derek Boyle)司令官は、巡回という警備隊の典型的な一日は「山や小川、河川から移民を救い出す救助の場」に変わることもあると話した。(c)AFP/Julia BENARROUS