【2月14日 AFP】新型コロナウイルスの感染拡大によって中国のサッカークラブが世界中に散らばる中、ホームシックにかかった選手たちは開幕日が決まっていない新シーズンに向けてトレーニングを続け、恐怖のあまり他国クラブからは親善試合を拒否されているチームもある。

 今月末に開幕するはずだった中国スーパーリーグ(1部)の新シーズンは、1500人近くの死者を出し、中国・武漢(Wuhan)が感染の中心地となっているコロナウイルスの大流行によって無期限で延期となっている。

 政府系メディアによれば、スーパーリーグの開幕は4月上旬以降になるものの、コロナウイルスの感染が国内や他の国に拡大し続けている限り、開幕日は未定のままだという。

 新シーズンがいつ始まるか分からず、いつ安全に帰国できるのかも不明だが、中国リーグの各クラブはスペインやアラブ首長国連邦(UAE)、タイ、日本に飛び、プレシーズンのトレーニングを行っている。

 昨季のスーパーリーグで6位となった武漢卓爾(Wuhan Zall)は1月末、マラガ(Malaga)近郊でのトレーニングキャンプのためにスペインに到着した際、医療関係者に出迎えられたものの、発症している選手やスタッフはいなかった。

 チームを率いるスペイン人のホセ・ゴンサレス(Jose Gonzalez)監督は、選手を悪者扱いしないように求め「彼らは歩くウイルスではない。アスリートだ」と述べた。

 しかしロシア1部リーグのFCクラスノダール(FC Krasnodar)は、おそらくはウイルスの懸念を理由に武漢卓爾との親善試合を中止しており、ジブラルタルリーグのヨーロッパ・ポイントFC(Europa Point FC)もそれに続いたと伝えられている。

 中国のスポーツ紙東方体育日報(Oriental Sports Daily)は、同国FAカップ(Chinese FA Cup)王者の上海申花(Shanghai Shenhua)がUAEのドバイ(Dubai)に約2週間滞在しており、その後アブダビに向かってさらにトレーニングを行うと報じた。

 上海申花の選手たちは、長らく帰国できていないことや不安から精神的なダメージを負っている。

 同メディアが報じたところによれば、上海申花のスタッフの一人が「正直に言えば、これほど長い間帰国できないとなると、選手たちがホームシックになるのは避けられないだろう」と話しているという。

「だが、それについてできることは何もない。今では中国の感染はより深刻になっている」

 コロナウイルスの大流行による中国サッカー界の死者数は不明だが、甲級リーグ(2部)の浙江緑城(Zhejiang Greentown)は今週、チームのユース選手にコロナウイルスの陽性反応が出たと明かした。

 また、英国生まれの中国代表選手ニコ・イェナリス(Nico Yennaris)が所属する北京国安(Beijing Guoan)は、AFCチャンピオンズリーグ(AFC Champions League 2020)のチェンライ・ユナイテッド(Chiangrai United FC、タイ)戦を来週に控えており、このアウェーゲームは同チームにとって昨年12月1日以来の公式戦となる。

 韓国・済州(Jeju)島で練習を行い、現在はすでにタイで調整を続けている北京国安は、選手の体温を1日に2度も測り、移動中にマスクを着用させるなど万全を期している。

 11日にチームのもとを訪れた北京国安の会長は、選手たちはこの困難な時期に家族と引き離されることになったと認めた。

「このような状況は、きょうここにいるすべての人にとって初めてのこと。率直に言って、解決するための良い手段が一切ない」 (c)AFP/Peter STEBBINGS