【2月20日 東方新報】中国共産党と国務院が発表する指示文書の第一号がこのほど発表され、今回で連続17回、三農(農民・農村・農業)に関するものが選ばれた。この指示文書は通称「中央文件」と呼ばれ、1年の最初に発表されるものが「中央一号文件」で、中国共産党指導部として最も重要視している政策テーマとみられている。

 タイトルは「『三農』領域の重点工作確保をしっかりして期日通りの全面的小康(そこそこ豊かな社会)実現をしっかり行うことに関する意見」。

 農業農村部の韓長賦(Han Changfu)部長によると、「三農」が選ばれたのは、今年が脱貧困を実現し全面的小康社会を実現する最後の年として、これまでの総仕上げとなる一年だからだという。

 特に脱貧困と小康社会の実現は、三農領域に依然残る突出した欠点を克服できるかがカギとなる。今年は、経済の減速圧力が大きく、新型コロナウイルス問題も起き、国内外リスクも明らかに上昇している中、農業の基盤を安定させ、「三農」の安定作用を発揮させることが例年にも増して重要とみられている。

 中国では、2019年末までに農村の貧困人口は累計9500万人以上減少し、770の貧困県がすでにそのレッテルを外されてきた。貧困発生率は2%以下に下がり、中国史上、最も貧困が少ないのが今だ。

 2020年に最後の仕上げをするために、まず自然条件が劣悪な上、基礎インフラが薄弱で公共サービスが不十分で発展が停滞している深刻な貧困地域に資源を集中して支援し、期限通りの脱貧困を確実に行う。次に高齢者、障害者ら特殊貧困集団を各種の社会保障政策を通じて救い出すことが重要だとした。この2つの問題を解決し、最後の300万人、50貧困県からレッテルをはがすという。

 また、都市と農村の格差の問題について、今年の中央一号文件では、農村地域に残存する8つの「不足」に重点的に対処するよう指示。その中には公共基礎インフラ建設、安全な飲料水の確保、衛生的なトイレや下水処理など住環境整備、農村教育、医療の問題などが含まれている。

 中国は「2020年に2010年と比べて所得を倍増、全面的小康社会の実現」を2012年の第18回党大会で打ち出しており、今年中にその結果が問われることになる。(c)東方新報/AFPBB News