【2月18日 東方新報】新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、中国各地では多くの学校、企業が春節(旧正月、Lunar New Year)休みを延期、市民が自宅で隔離状態になっている。この「災難」が、家で行える勉強、仕事、ホームワークビジネス業界にとっては新たな商機と期待されている。

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 春節以来、9日連続で自宅から出ていないというとある北京市民は「退屈で死にそうだ」と訴える。多くのネットユーザー同士で意見交換すると、だいたい同じになる。

 そういう時に気晴らしになったのが、ネット上の社交性ゲームだ。現実に会えない友人と、人狼(じんろう)ゲームや騰訊・天美スタジオ開発のチームストラテジーゲーム「王者栄耀(Honor of Kings)」などで集い、寂しさを紛らわせたという。

 金融機構の中信建設証券(China Securities)の分析によると、この春節期間中、ゲームユーザーが大幅に増え、オンライン時間も長時間化しているという。「王者栄耀」を例にとると、春節期間(1月16~31日)だけでアイテム購入額は約65億2000万元(約1022億円)に上り、2020年1月全体の実質課金総額は90億8400万元(約1423億円)前後と推計されている。これは史上最高を更新したことになる。

 オンラインコンテンツのビジネスチャンスは、オンライン授業などの教育コンテンツでも注目されている。

 北京在住の女性は冬休み前、9歳の息子のために英語ウインターキャンプという集中レッスンに申し込んだが、新型ウイルス騒ぎで中止となった。このため、これまで懐疑的だったオンライン授業に初めて申し込んだが、オフライン授業よりも効率がよく、保護者としての監督もしやすいと感じたという。

 新東方(New Oriental Education & Technology Group)、学而思、VIPKIDといった教育学習企業はすでに就学前児童向け教育や職業訓練授業を含めて、多様な無料オンライン授業を行っているが、新たなユーザー層への浸透を実感しているという。

 実際、1月27日に、中国教育省が春学期の開始延期を通達すると、いわゆるオフラインの塾や補助学校経営を主体とする教育企業の株価が大幅に下落、一部ストップ安となった。春季の塾費用、補講費用の払い戻しが殺到したためで、その一方でオンライン学習企業株が軒並み上昇している。

 中金公司(CICC)のアナリストは、各教育主管部門がこの新型ウイルス問題を機に、オフライン授業のオンライン化を大幅に推進していくとみている。(c)東方新報/AFPBB News