【2月12日 AFP】絶滅の危機に直面している世界の動植物100万種の約半数は昆虫だとする研究結果が10日、発表された。昆虫の消失は人類にとって大惨事となる可能性があると、研究は警告している。

 今回の研究結果をまとめた論文の筆頭執筆者で、フィンランド自然史博物館(Finnish Museum of Natural History)の生物学者であるペドロ・カルドーソ(Pedro Cardoso)氏はAFPの取材に応じ、「ほぼすべての昆虫の個体数減少と絶滅に人の活動が関係している」と語った。

 第1の要因は生息地の縮小と生息環境の悪化で、第2の要因は汚染物質(特に殺虫剤)と侵略的外来種とされている。

 生物資源の乱用──世界では2000種以上の昆虫が人の食料の一部となっている──と気候変動も要因の一部だ。

 カルドーソ氏は、受粉、栄養循環、害虫駆除などの「かけがえのない貢献の提供者」であるとして、多くの昆虫種は必要不可欠だと指摘する。

■「生態系への貢献」 米国だけでも年間570億ドルの価値

 これらの「生態系への貢献」は、米国だけでも年間570億ドル(約6兆3000億円)の価値に相当することが、過去の研究で明らかになっている。

 国連(UN)の科学者組織「生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)によると、世界規模では、虫媒(昆虫による受粉媒介)を必要とする作物には年間2350億~5770億ドル(約25兆8000億~63兆4000億円)の経済的価値があるという。

 そして、多くの動物が生存のために大量の昆虫に依存している。

 例えば、欧米全域での鳥類個体数の急減については、殺虫剤使用の影響による昆虫個体群の崩壊との関連が指摘されている。