【2月15日 AFP】水道から出てくる汚水。それが止まったと思ったら、今度は浄化剤が大量に混入した水。リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)では、不衛生な水道水により住民らの生活に支障が出ている。環境問題をめぐるブラジルの失策を改めて浮き彫りにしているのが、リオの水道水だ。

 問題が発覚したのは、約1か月前。水道から悪臭のする茶色い水が出てくるとの苦情が、同市の広範囲から複数寄せられた。

 リオデジャネイロ州水道公社(CEDAE)は、同市の主要な浄水場のトップを解任。原因は「ゲオスミン」と呼ばれる無害な有機化合物だと説明し、炭素粒子を使ってゲオスミンを減らし、リオデジャネイロ大都市圏の住民1200万人に対し、水道水を飲んでも害はないと明言した。

 だが2月に入り、またしても住民らを当惑させる発表があった。同じ浄水場で出どころ不明の高濃度の浄化剤が検出されたことが判明したのだ。当局は浄水場の閉鎖を余儀なくされた。

「グアンデュ(Guandu)」と呼ばれるこの浄水場は約900万人に水道水を供給しているが、夏のうだるような暑さの中、この閉鎖によって同市の広範囲で13時間にわたって水道が止まった。パニックになった住民らがボトル入り飲料水を買い占め、飲料水メーカーは需要に応えようと必死になった。

 リオデジャネイロでは2週間後に約200万人の観光客が訪れる世界的に有名なカーニバルが控えているが、開催を懸念する声も上がっている。

「問題を早期に解決できなければ、ボトル入り飲料水が不足した状態でカーニバルを開催することになり、人々は安全性が不確かな(水道)水を飲まざるを得ない」。市中心部のビジネス街で水を買いだめしていた銀行員のレオナルド・ド・サントス(Leonardo Do Santos)さんはそう話した。

 多くのスーパーマーケットでは飲料水が品切れになったり、購入数が制限されたりしている。街中では1.5リットルのボトル入り飲料水が、通常の3倍の値段の6レアル(約150円)で売られている。ファベーラ(貧民街)に暮らす最貧困層の住民さえもが、経済的犠牲を払ってでもボトル入り飲料水を買っている。

 環境当局は5日、浄水場で検出された浄化剤は許容範囲を超えていなかったと発表し、CEDAEは窮地から救われた。だが、住民らの不安はほとんど払拭(ふっしょく)されていない。

 この事態を冗談の種にする人も後を絶たない。ツイッター(Twitter)のあるユーザーは、「水道から浄化剤入りの水が出るから、食器用洗剤を買う必要がない。浮いたお金でボトル入り飲料水が買える」と投稿している。(c)AFP/Joshua Howat Berger / Perrine Juan