【2月12日 AFP】新型コロナウイルスをめぐりフィリピンが台湾への渡航を禁止したことを受けて、台湾は11日、複数の国が中国と台湾を「混同」していると非難した。

 台湾は中国本土に近く、文化的つながりがあるものの、新型コロナウイルスの流行に関しては速やかに対策を実施し、これまでの感染者は18人にとどまっている。しかし、これまでに1100人超が死亡、4万4000人超が感染した流行の中心地、中国を対象とした渡航制限に巻き込まれつつある。

 フィリピンは10日、台湾は中国の一部だとする「一つの中国」原則に基づき、中国への渡航禁止令の範囲を台湾に拡大すると発表した。

 台湾国防部(国防省)は11日、フィリピンの決定を「不当で一方的」と非難。国防部のジョアン・オウ(Joanne Ou)報道官は記者団に対し、「台湾と中国の混同はわが国、そして国際社会に問題をもたらす」と訴えた。

 フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は近年、貿易と投資を求めて中国との関係の親密化を目指してきた。

 フィリピンはこれまでのところ、日本や韓国、シンガポールといった確認された感染者数が台湾よりも多い国々への渡航を禁止していない。

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、複数の国々が中国に対する渡航制限の対象に台湾を含めている。イタリアは台湾の航空会社の乗り入れを禁止。バングラデシュは台湾人旅行者の入国を禁止。モンゴルは当初、台湾人の入国を禁止していたが、ビザの申請を個別に検討する方針に転換した。

 オウ報道官によると、国外の台湾当局者らはさまざまな国の政府と連絡を取り、「台湾は中華人民共和国の一部ではない」ことを明確にしている。

 フィリピン政府の措置について、中国政府が圧力を掛けたと思っているかと問われると、オウ報道官は「中国の影が潜んでいる。中国の因子は明白だと思う」と回答した。

 台湾によると、引き続きフィリピン政府と連絡を取り合っていくとともに、韓国やベトナム、ヨルダンなどの国々に対し、台湾への渡航制限を解除するよう交渉していくという。(c)AFP