【2月12日 Xinhua News】中国の人々はよく「いつだって問題より解決策の方が多いものだよ」と口にする。新型コロナウイルスによる肺炎との全人民総力の「闘い」で、この古くからの言い回しが改めて実証されている。

 防護用品の需給は極めて逼迫(ひっぱく)しているが、中国の医療スタッフも一般の人々も決して手をこまねいてはいない。さまざまな感染予防・抑制のための妙案が次々と編み出され、ソーシャルメディアで反響を呼んでいる。

 ネットには連日、防護マスクを自作する医療スタッフの動画が投稿され、注目を集めている。湖北省(Hubei)孝感市(Xiaogan)にある病院の医師は、透明ファイルケースでマスクを自作し、ネットで100万の「いいね」が付いた。

 専用の防護装備の支給は発熱外来と隔離区域のスタッフに限られるため、それ以外の医療スタッフは医療用マスクで乗り切るしかない。山西省(Shanxi)陽泉市(Yangquan)第一人民医院放射線科の成連生主任と放射線技師の仇智勝さんは、X線フィルムをうまく保護マスクに改造し、急場をしのいだ。

 成主任は「われわれはX線検査用のフィルムに細い発泡ウレタン素材を貼り付け、両側にひもを付けて、簡易フェースガードにしました」と説明した上で、「防護装備の逼迫を軽減する効果があり、また、医療スタッフの感染リスク低減にも役立っている」と語った。

 一般市民のアイデアはさらに意表を突いている。ショート動画共有アプリの「抖音(Douyin)」には、大きなミネラルウオーターのボトルで作られた「バケツマスク」を着用して地下鉄に乗る一家5人の動画が投稿されている。

 山西大学(Shanxi University)哲学社会学学院の邢媛(Xing Yuan)教授は「これはマスクが品薄だからという以上に、人々の防護意識が高まった結果と言えるだろう」と分析した。人々が自身の保護を強化することは、交差感染の回避に有効であり、ひいては現状の感染予防・抑制の負担を軽減するのにも役立つという。

 社区(コミュニティー)に入る人々の登録管理に微信(WeChat)の2次元バーコードを利用する方法は、よりテクノロジー感にあふれている。

 山西省太原市(Taiyuan)杏花嶺区大東関街道弁事処が管轄する97の小区(居住区)には、10万人近くが住んでいる。感染が広がって以降、この街道の幹部はソフトウエアを利用して2次元バーコードを作成し、社区のゲートに張り付けた。社区に入る全ての人は、スマートフォンでコードをスキャンするだけで登録が完了する。大東関街道弁事処の幹部、張鑫さんは「人が登録作業を行えば行列ができて人々が密集してしまい、紙や筆記具も共用することになる。2次元バーコード登録にすることで接触を避けられ、新型肺炎のリスクを効果的に抑制できる」と語った。

 専門家は、数字で評価することは困難だが、中国の人々が編み出した感染対策のアイデアは人間同士の接触を減らす効果があり、これはウイルスが広がるのを遮断するのに有効だと話している。(c)Xinhua News/AFPBB News