【2月11日 AFP】インド洋の島国モルディブで、ビキニを着た英国人観光客の女性が複数の警察官に取り押さえられる映像がソーシャルメディア上で広まり、物議を醸している。この出来事をめぐり、同国のモハメド・ナシード(Mohamed Nasheed)国会議長が10日に謝罪した。

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 警察によると、大通りを歩いていたビキニ姿の女性は6日、「不適切な」装いで飲酒し、手に負えない状態にあったとされており、体を覆うようにとの要求に応じることを拒否。その後身柄を拘束されたという。

 ハネムーン客やセレブから人気を集める熱帯の楽園モルディブは、観光業を主要産業としている。ただ同国には、スンニ派のイスラム教徒34万人が暮らしており、以前は観光客の行動範囲を地元住民から切り離されたリゾート向けの小さな島々に限定していた。だが近年は、地元住民が暮らす島々でも外国人の滞在を認めている。

 観光客らはリゾートでビキニなどの水着を着用することができるが、それ以外の場所では現地のドレスコードに服することになる。

 ソーシャルメディア上で共有された映像には、警官3人が女性を取り押さえようとしているところに、もう1人の警官がやってきて女性をタオルで覆おうとしている様子が捉えられている。この際女性は「あなたたちは私を性的に暴行している」と叫んでいた。

 ナシード議長は国会で、この件をめぐり女性に謝罪すると発言。女性は拘束から2時間後に釈放されてモルディブを出国しているが、同議長は女性に再訪してもらうべく観光当局が招待することを望むと述べた。

 モルディブ警察のモハメド・ハミード(Mohamed Hameed)長官は、映像の拡散後にツイッター(Twitter)で、この出来事が「不適切に取り扱われたようだ」とコメント。「この件について先の観光客と市民に謝罪する。私が対処している課題は警察のプロフェッショナル化であり、われわれはすでにこれに取り組んでいる。本件については調査中だ」と説明した。

 ただ警察は7日、観光客に「文化的な鋭敏性と現地の規制」を尊重するよう呼びかけた。

 この映像はモルディブ人の間で怒りを巻き起こし、この女性が警官のサングラスをつかみ取る様子を捉えた別の映像について、ソーシャルメディア上で女性の振る舞いを批判する声も上がった。(c)AFP