【2月10日 AFP】(更新、写真追加)ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相の後継者と目されていた与党キリスト教民主同盟(CDU)のアンネグレート・クランプカレンバウアー(Annegret Kramp-Karrenbauer)党首が10日、辞意を表明した。これにより、2021年までの政権維持を目指していたメルケル首相とCDUの計画は混迷に陥った。

「AKK」とイニシャルで呼ばれることも多いクランプカレンバウアー氏は2018年、保守勢力が地方選で相次いで敗北を喫した後、将来の首相候補としてメルケル氏からCDU党首の座を継承。だがクランプカレンバウアー氏が就任後のCDUでは、反移民政党「ドイツのための選択肢(AfD)」と協力すべきか否かをめぐり内紛が起きていた。

 クランプカレンバウアー氏は、党首としての職務は「困難」なものだったと説明。CDU党首を辞任し、来年の総選挙でCDUの首相候補を目指さない意向を表明した。

 ドイツは次期総選挙を、来年秋までに実施しなければならない。だがCDUと、バイエルン(Bavaria)州の姉妹政党キリスト教社会同盟(CSU)、中道左派の社会民主党(SPD)による脆弱(ぜいじゃく)な3党連立政権が、選挙まで持ちこたえられない可能性もある。

 CDUは極左・極右のいずれとも協力関係を結ばない方針をとっているが、先週にはCDUの地方議員らがその方針に反し、AfDの議員と協力してテューリンゲン(Thuringia)州で極左の州首相を失脚させた。これを受けSPDは先週末、連立関係の今後を話し合う緊急協議を要請した。

 クランプカレンバウアー氏の辞任により首相候補をめぐる争いは白紙に戻ることとなる。南ドイツ新聞(Sueddeutsche Zeitung)は「首相の退陣が近づいていることは大いにあり得る」と伝えた。(c)AFP