【2月10日 AFP】ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で2018年にアフリカ系の人権派市議マリエル・フランコ(Marielle Franco)氏が殺害された事件で、容疑者の一人だった男が9日、逮捕しようとした警官らに発砲した後、射殺された。当局が明らかにした。

 死亡したのは、リオデジャネイロ州軍警察で特殊部隊の隊長だったアドリアーノ・マガリャエス・ダ・ノーブレガ(Adriano Magalhaes da Nobrega)容疑者。フランコ氏の殺害を企てたとされ、1年以上逃亡していた。

 革新的な男女同権主義者で、警察による残虐行為や即決処刑を公然と非難していたことで知られるフランコ氏とその運転手は、2018年3月14日にリオデジャネイロで、フランコ氏らを追っていた別の車から複数発の銃弾を浴びて死亡した。この事件で、元警官2人が逮捕された。

 殺害を命令した疑いが掛けられたのは、「オフィス・オブ・クライム(Office of Crime)」として知られる強力な民兵組織。マガリャエス容疑者はこの組織を率いているとみられていた。

 フランコ氏が属していた自由社会党(PSL)は9日、マガリャエス容疑者が死亡した状況を明らかにするよう求める声明を発表。「マガリャエス容疑者が所属していた民兵組織は(フランコ氏の)殺害に関与しているとみられており、同容疑者は一連の犯罪の真相究明で重要な存在だった」と指摘した。

 ブラジル紙エスタド・ジ・サンパウロ(O Estado de Sao Paulo)によると、マガリャエス容疑者は自身の弁護士らに、「証拠を消すために」殺されるのを恐れていると話していたという。

 同容疑者は2005年、ジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領の息子で当時リオデジャネイロ州議会議員だったフラビオ(Flavio Bolsonaro)上院議員の主導で、リオデジャネイロ州で最高のティラデンテス(Tiradentes)勲章を授与された。(c)AFP