【2月10日 AFP】柔道のグランドスラム・パリ大会(Judo Paris Grand Slam 2020)で、男子100キロ超級の影浦心(Kokoro Kageura)が、王者テディ・リネール(Teddy Riner)に約10年ぶりとなる土をつけ、金星を挙げた。

 30歳のリネールは五輪2大会連続で金メダルを獲得し、世界柔道(World Judo Championships)でも100キロ超級8連覇を達成して国際試合の連勝を154試合に伸ばしていたが、影浦は3回戦でそのリネールから一本勝ちを収め、スポーツ史に残る連勝記録に終止符を打った。

 リネールが敗れるのは、2010年9月の世界柔道・無差別級決勝で上川大樹(Daiki Kamikawa)に微妙な判定負けを喫したとき以来となる。リネールは東京五輪で、柔道では野村忠宏(Tadahiro Nomura)氏しか成し遂げていない五輪3連覇を目指しているが、大会まで約半年の段階で久しぶりの黒星がついた。

 それでも試合後のリネールは、あまり気にした様子を見せず「五輪でこういうことになっていたらショックだっただろう。ここで起こっておいてまだ良かった」「それにもう一つ言いたいのは、ある意味でホッとしたということだ。山下(泰裕〈Yasuhiro Yamashita〉)の記録(203連勝)に近づく中で、勝ち星を数えるのは重いことだった」と話した。

 山下氏は1977年から1985年の引退まで無敗を続け、1980年のモスクワ五輪は日本が大会をボイコットしたため参加しなかったものの、その間に世界柔道で四つ、また1984年のロサンゼルス五輪で金メダルを獲得した。

 また今回敗れはしたものの、世界選手権で10個の金メダルを獲得しているリネールの154連勝は、スポーツ界の偉業の一つに位置づけられる。

 他には、陸上男子400メートルハードルの米国のエドウィン・モーゼス(Edwin Corley Moses)氏が1977年から1987年にかけての10年間で122連勝を達成し、スカッシュ男子ではパキスタンのレジェンド、ジャハーンギール・カーン(Jahangir Khan)氏が1981年から1986年に555連勝を飾った。

 ボクシングでも、少なくとも二つの見事な連勝記録が残っており、元ヘビー級王者である米国のロッキー・マルシアーノ(Rocky Marciano)氏が1947年から1955年に49連勝を達成し、無敗のままプロ生活を終えた他、メキシコのフリオ・セサール・チャベス(Julio Cesar Chavez)氏は1993年に引き分けとなるまで87連勝を記録し、3階級制覇を成し遂げた。(c)AFP