【2月9日 AFP】(更新、写真追加)タイ東北部ナコンラチャシマ(Nakhon Ratchasima)市で銃を乱射した兵士がショッピングモールに立てこもっている事件は、発生から一夜明けた9日朝も続いている。タイ政府によると、この事件でこれまでに21人が死亡した。

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 事件は8日午後発生。軍の上級曹長ジャカパン・トンマ(Jakrapanth Thomma)容疑者が、上官の家とその近くにある兵舎で、少なくとも1人の兵士を含む3人を射殺。武器と軍用車両を奪い、市中心部へ向かった。警察によると、容疑者は機関銃を発射して多数の人を死傷させた。

 警察は容疑者をショッピングモール「ターミナル21(Terminal 21)」から出そうと何度も試みたが、容疑者は軍から奪った武器を持ったまま、現在も立てこもっている。

 8日深夜、治安部隊がショッピングモールの1階に突入。容疑者は血まみれの突入の模様をフェイスブック(Facebook)で中継した。モールにいた買い物客たちがおびえきった様子で逃げ出した。

 9日夜明け前には、激しい銃撃戦の音が聞こえた。警察は1階を制圧したと発表したが、建物の内部に何人が取り残されているのか、今も分かっていない。

 アヌティン・チャーンウィラクーン(Anutin Charnvirakul)副首相兼保健相によると、21人目の犠牲者は警察官で、9日午前3時(日本時間同5時)ごろ突入した際に銃弾を受け、「残念ながら助からなかった」という。またアヌティン氏は、これまでに31人が負傷し、うち4人は重傷だと述べた。

 逃げ出した人たちは、ショッピングモールでのいつもと変わらない土曜日の買い物が、銃を持った容疑者が入ってきた途端に想像もできない恐怖の場面に変わったと振り返った。

 48歳の女性は、銃声を聞いてショッピングモールにあるスポーツジムのトイレに隠れていたと語り、「夢みたいだった…生き延びることができてうれしい」「亡くなった人や、まだ取り残されている人はかわいそうだと思う」と話した。

 当局は容疑者の動きについて、新しい情報を発表していない。容疑者は、ショッピングモールの地階に移動したのではないかとの臆測が出ている。(c)AFP/Thanaporn PROMYAMYAI / Dene CHEN