【2月9日 Xinhua News】中国上海市の書店「鐘書閣(Zhongshuge)」閔行店の謝寧(Xie Ning)店長はこれまで想像もしなかったことに取り組んでいる。インフルエンサーみたいにインターネットのライブ配信で本のライブ販売を始めた。

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 閔行店は売り場面積約1300平方メートルの大型書店だが、旧暦大みそかに当たる1月24日以降、営業を停止している。新型コロナウイルスによる肺炎の予防・抑制のため、大部分の都市の書店がそうしたように鐘書閣傘下の全店舗が臨時休業することになったからだ。

 こうした中、愛書家たちに寂しい思いをさせないよう、鐘書閣は本のライブ販売を試みることに決めた。中国ではこれまでにもリアル書店がライブ販売を行うことはあったが、大半はその時期のベストセラーの販促や有名人の著者と会えるイベント開催に合わせたものだった。今回の試みは、自宅待機を余儀なくされている愛書家たちの「気晴らし」のために行われる点で、これまでにない挑戦となる。

 ライブ配信当日、ピーク時には千人近い読者がライブ会場に「入場」した。読者たちはこの時期のリアル書店によるライブ販売に賛辞を送り、参考書や散文集などを購入した。

 中国政府は長年、全国民に読書を呼び掛ける「全民閲読」運動に力を入れてきた。新型肺炎の発生後、大多数の書店が一時的に店を閉め、物流も遅れがちになり、作家や出版社からは紙の本の販売が試練に直面していると懸念の声が上がっている。最近は一部のオンラインプラットフォームが本の割引キャンペーンや、電子書籍の無料開放を始めている。

「2019年上海市民閲読状況調査」によると、市民にとって紙の本での読書が1番の選択肢となっている。上海市はここ数年、リアル書店の発展を支援する措置を立て続けに打ち出してきた。それが奏功して市内には独創的な書店が数多く点在するようになり、「都市のぬくもり」ととなえられている。(c)Xinhua News/AFPBB News