【2月10日 Xinhua News】2020年に入り、新型コロナウイルスによる肺炎の発生が中国人の生活習慣を変えつつある。外出を控え、人と会わず、自宅で待機することが人々の共通認識になっている。

 そのあおりを受けた飲食業や観光業、実店舗が大きく冷え込んでいる。多くの百貨店や飲食店、映画館は今もなお、営業再開の見通しが立っていない。一方、ネットショッピングやオンライン授業、オンライン映画館、在宅勤務ソフトウエアなどの「宅経済」がこうした流れに逆らい、新たなサービスモデルを生み出すなど活性化している。

 感染が拡大する中、インターネット環境を使った在宅勤務向けソフトウエアも対策に一役買っている。騰訊控股(テンセント、Tencent)や蘇寧易購(Suning.com)、北京字節跳動科技(バイトダンス、ByteDance)はオフィスソフトウエアをしばらくの間、無料提供するサービス計画を打ち出した。アリババグループ傘下の企業向けコミュニケーションプラットフォーム「釘釘(ディントーク)」は在宅勤務向けソリューションを詳細に開示し、企業や機関に包括的援助を提供している。

 また、在宅勤務では一日3食を自宅で食べることになる。自宅待機のため、アリババ傘下の生鮮食料品スーパー「盒馬鮮生」やネットスーパー「天猫超市」、ECプラットフォーム「拼多多(Pinduoduo)」などで野菜を買うことが多くの人にとって最優先の選択肢となっている。

 盒馬鮮生はこのほど、一部飲食店と自宅待機中の従業員約100人を臨時採用することで合意した。面接試験や研修、健康診断を経て、梱包(こんぽう)や仕分け、陳列に従事させる。

 例年多くの集客が見込める春節(旧正月、Lunar New Year)映画の興行成績も悲惨な状況に陥っている。ただ、人気シリーズ「囧媽」(Lost In Russia)がネット上で無料配信を始めると、これが呼び水となり、各動画サイトが相次いでキャンペーンを実施。アクセス数や会員数を大きく伸ばした。

 新東方教育科技集団などの大手学習塾は対面授業を一時停止し、ライブ授業や繰り返し再生可能な授業動画の配信を始めた。そのほとんどが無料となっている。

 このほか、医療機関とインターネット企業が展開する「オンライン医療」の注目度も高まった。利用者は在宅のままインターネットプラットフォームを通じて医療相談や診断、治療を受けることができる。

 吉林大学(Jilin University)経済学院の丁肇勇(Ding Zhaoyong)副教授は、いかなる突発事件も産業や生活、仕事のスタイルに革新をもたらす可能性があると指摘。SARS(重症急性呼吸器症候群)の流行期も中国のインターネット産業が大きく進展したことに触れ、今回もテレビ会議や遠隔医療、オンライン授業などが幅広く採用されるようになるとの見方を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News