【2月8日 Xinhua News】二十四節気の最初の節気「立春」を迎えた2月4日は、中国・上海市在住の坂井さん一家にとって素晴らしい一日となった。上海市長寧区(Changning)虹橋街道栄華居民区の職員によると、多くの日本人世帯が立春のこの日、新型コロナウイルスによる肺炎予防・抑制に関わる隔離措置を解除された。隔離者は全員無事だという。

 湖北省(Hubei)などで発生した新型肺炎が1月下旬以来、国内外から高い注目を集めている。上海市は1月24日、公衆衛生上の重大突発事態として緊急事態レベル1(4段階の上から1番目)を発動した。ちょうど中国の春節(旧正月、Lunar New Year)に当たったことから、上海にとどまって中国の新年を過ごす計画だった日本人の生活にある程度の影響が出た。

 同市長寧区の虹橋街道や仙霞街道は、市内でも日本人が特に密集して暮らしている地域だ。虹橋街道の栄華居民区は「ミニ国連」と呼ばれるほどで、約2平方キロの範囲に42の居住区があり、50余りの国・地域の3万2千人余りが暮らしている。うち外国と香港・マカオ・台湾籍人口は1万6千人を超えており、日本人と韓国人が多数を占めている。地元の代表的な通り「古北路」は長い歴史があり、栄華居民区や周辺の多くの居民区は、外国人から「大古北(大いなる古北)」とも呼ばれている。

 坂井さんは春節に出張先の湖北省武漢市(Wuhan)から上海に戻ってきたことで、ウイルス感染予防・抑制のために自主的に隔離を行った。14日間という短い期間だったが、地元の温かな人情に触れたことで「大古北」にいっそう愛着を持ったという。坂井さん一家は社区(コミュニティー)の感染対策について「安心」と「安らぎ」が最も印象深かったと述べた。

 坂井さんは社区の職員に「1日3食、専門のスタッフが家に持ってきてくれ、ごみも専門の人が回収して、きっちり分別し、消毒してくれた。いつもと違う中国の新年だったが、特に緊張感はなかった」と語った。

 この2日、隔離を解除される際に、一部の日本人は、社区の職員やボランティアの思いやりと辛抱強さが忘れがたく、多少の「名残惜しさ」さえ覚えたという。

 社区の掲示板には、中国語、英語、日本語、韓国語など多言語で通知が掲示されている。そこには全国や上海市の現地のウイルス感染予防・抑制状況や、上海市で導入が始まったマスクの予約購入の登録方法などが記されている。

 日本人ボランティアも、上海の国際的な大規模社区内における感染対策を支える活力となっている。栄華居民区の住民である真理子さんは、日本で広く使われている数種類の消毒液を社区に自ら進んで紹介した。真理子さんは慣れない中国語を使って微信(ウィーチャット、WeChat)を通じ、「みんなで一緒に頑張って、科学的な予防対策を行い、一日も早くウイルスに打ち勝とう」という思いを発信した。

 栄華居民区におけるウイルス感染予防・抑制作業の責任者、盛弘さんは「皆がまるで一つの家族のようだ」と述べ、社区の職員やボランティアの多くは日本語が分からないため、日本人住民とは英語や中国語を中心にコミュニケーションをとっているが、職員らは各世帯に細かい部分までしっかりと伝え、一世帯も伝え漏らすことなく取り組んでいると紹介。また、ウイルス感染状況や予防・抑制の要点については多言語で交流し、日本人住民との意思疎通を円滑に進めていると語った。

 日本人が最も好んで通う商業施設の高島屋は、営業時間を短縮しているものの、大部分の住民の買い物ニーズを満たしている。

 上海市人民対外友好協会は、上海にある中日合資企業、日本の独資企業、友好団体もウイルスの感染状況を注視し続け、企業の責任者や従業員による心のこもった寄付や援助も絶えず続けられているとし、こういった側面にも中日民間友好交流の重要都市・上海の役割が表れていると述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News