【2月7日 AFP】新型コロナウイルスが外国人嫌悪を伴って世界中に拡散する中、各地のアジア系社会に疑惑と恐怖のまなざしが向けられている。

 オーストラリアの外科医レア・リアン(Rhea Liang)氏は、ゴールドコースト(Gold Coast)で新型コロナウイルスの流行を理由に患者に握手を拒まれ、ショックを受けた。だが、そのことについてツイッター(Twitter)に投稿したところ、たくさんの反応があり、自分の体験は全く珍しくないものだと分かった。

 ウイルス流行の中心地に行ったことあるかどうか、またはウイルスと接触したことがあるかないかにかかわらず、アジア系の人々に向けた嫌中的な言論の報告例が急増している。

 イタリアでは、ベネチア(Venice)で中国人旅行者らがつばを吐きかけられたり、トリノ(Turin)に住むある一家がウイルス感染者だと責め立てられたり、ミラノ(Milan)で母親らがイタリア人の子どもを中国系の同級生らに近づけないようソーシャルメディアで呼び掛けたり、といった人種差別が報じられている。

 カナダではショッピングモールの駐車場で、中国系カナダ人の女性に対し「おまえらがコロナウイルスをまき散らしたんだ」と口にする白人男性の動画が撮影された。

 マレーシアでは「愛するわが国への中国人の入国を禁止する」と銘打った請願運動が、1週間で約50万人分の署名を集めた。

 オーストラリア緊急医療大学(ACEM)は、「誤情報」によって「レイシャルプロファイリング(人種的偏見に基づく対象選別)」があおられ、「『中国人』または『外見がアジア系』の人々を深く傷付けるような思い込み」がつくり上げられていると指摘している。