■実際に有効か

 一言でいえば、正確には分からない。

 中国の専門家らは、SARS患者に投与した抗レトロウイルス薬が「著しい臨床的有効性」を示すことは、2004年の研究で明らかになっていると主張している。

 だが、1月24日に英医学誌ランセット(The Lancet)に掲載された研究論文は、新型コロナウイルス患者41人を対象とした無作為臨床試験では「複数の限界」がみられたとしている。

 シンガポールのチーフ・ヘルス・サイエンティストを務めるタン・チョー・チュアン(Tan Chorh Chuan)氏は、国内の医師らはこの抗レトロウイルス薬治療と同様の措置を講じていると述べている。だが、治療結果の詳細には触れなかった。

 この他にも「有望」とみられる研究結果が複数あり、武漢(Wuhan)で臨床試験が開始されている。

■製薬大手各社の対応

 製薬会社も新型コロナウイルスの治療薬開発に取り組んでいる。

 米カリフォルニア州に拠点を置く製薬会社ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences)は、SARSの治療に使われた薬剤「レムデシビル」の効果を探るための臨床試験を中国当局と共同で進めているという。

 新たな治療法の開発も進められている。米厚生省は米製薬大手リジェネロン・ファーマシューティカルズ(Regeneron Pharmaceuticals)と提携し、新型コロナウイルス治療のためのモノクローナル抗体の開発を行っている。同社はエボラ出血熱患者の生存率を著しく上昇させることに成功したモノクローナル抗体製剤を手掛けたことで知られている。

 一方、中国、オーストラリア、仏パスツール研究所の3チームがこれまでに、新型コロナウイルスを実験室で培養することに成功している。

 この成功により、新型コロナウイルスが細胞内でどのように増殖するかを解明する上での「アキレスけん」を突き止められる可能性があると、パスツール研究所は指摘した。(c)AFP/Dene-Hern CHEN and Catherine LAI