【2月6日 AFP】新型コロナウイルスの急速な拡散を一刻も早く封じ込めようと医師らが懸命に取り組む中、抗レトロウイルス薬とインフルエンザ薬の混合薬が、治療薬の候補の一つとして浮上してきた。

 だが、混合薬が実際に有効かどうかについての科学的な結論は出ておらず、特定の治療法の開発には数年かかる可能性があると、専門家らは指摘している。

 重症急性呼吸器症候群(SARS)に似た新型コロナウイルスの治療について、これまでに分かっていることおよび分かっていないことについてまとめた。

■なぜ抗レトロウイルス薬なのか

 一般的なインフルエンザと診断された患者は、タミフルとして知られる抗ウイルス薬を処方されることが多い。

 だが、仏パリのパスツール研究所(Pasteur Institute)によると、季節性のインフルエンザは「中国の新型コロナウイルスとは全く違う」。

 中国の医師らは2週間前、北京で新型コロナウイルスの患者に抗エイズウイルス(HIV)薬を投与していることを認めた。この措置は、SARSに対し「良好な」反応を示したとする2004年の研究に基づいているという。

 抗HIV薬のロピナビルとリトナビルを併用すると、患者の血液中に存在するHIVに感染した細胞数が減少し、HIVの複製能力と免疫システムを攻撃する能力がなくなる。

 医師らは、これら2種の抗HIV薬とオセルタミビルと呼ばれる抗インフルエンザ薬の組み合わせが、新型コロナウイルスに有効な可能性があると期待している。

 タイでは、この3種混合薬を71歳の中国人患者に投与したところ、48時間以内に陰性の検査結果が得られた。