【2月6日 AFP】英政府は5日、公共放送BBCの受信料未払いを刑事訴追の対象から外す計画を発表した。英国では現在、BBCの視聴者に年間受信料の支払いが義務付けられており、政府の計画によってBBCの将来が危うくなるとの懸念も出ている。

 ニッキー・モーガン(Nicky Morgan)デジタル・文化・メディア・スポーツ相は、公共放送はネットフリックス(Netflix)などのストリーミングサービスの時代に「適応しなければならない」と述べ、受信料を支払わなければ罰金や禁錮刑に処される恐れがある現在の制度は「時代錯誤」だという考えを示した。

 BBCとボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相率いる保守党の関係が緊張しているなか、受信料の未払いを刑事罰の対象から外そうとする動きには警戒する声も上がっている。

 保守党はBBCが政治的に偏向していると主張。ジョンソン首相は昨年12月の総選挙の際、BBCの主要インタビューへの出演を拒否した。現在、閣僚らはBBCの主なニュース番組であるラジオ4(Radio 4)の「トゥデー(Today)」への出演をボイコットしている。BBCは、そのような批判を否定している。

 BBCの受信料は年間154.50ポンド(約2万2000円)。昨年は約37億ポンド(約5300億円)の受信料収入があり、そのおかげで商業的な制約を受けることなく事業を行うことができた。

 モーガン氏はロンドンで行ったスピーチの中で、受信料の未払いを刑事罰の対象から外せば、BBCは「ほぼ確実に」収入が減るだろうと述べた。BBCも先に、2億ポンド(約290億円)の減収になるとの予測を示していた。

 野党・労働党の広報担当者は、「保守党政権のもとでBBCの将来は深刻な脅威にさらされている」「受信料未払いを刑事罰の対象から外せば、BBCは収入の見通しを立てるのが難しくなり、多額の資金不足に陥る恐れがある」と警告した。

 BBCはトニー・ホール(Tony Hall)会長が辞任の意向を明らかにしているほか、先月29日にはニュース編集部の450人を解雇する方針も発表していた。(c)AFP/Alice RITCHIE