【2月6日 AFP】フランス・アイススポーツ連盟(FFSG)のディディエ・ガイアゲ(Didier Gailhaguet)会長は5日、フィギュアスポーツ界で未成年の選手が性的虐待に遭ったとされる中で辞任を要求されたことを受け、批判の声を上げたスポーツ相を「道徳的」「日和見主義」と非難し、居直った。

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 世界フィギュアスケート選手権(ISU World Figure Skating Championships)で銅メダルを獲得したサラ・アビトボル(Sarah Abitbol)さんは、先月出版された本の中で、15歳から17歳だった1990年から92年にかけて元コーチのジル・ベイヤー(Gilles Beyer)氏からレイプと性的虐待の被害を受けていたと告発。アビトボルさんの告発に次いで、さらに元スケーター3人が未成年時の性的虐待を主張する中、検察当局は捜査を開始している。

 ロクサナ・マラシネアヌ(Roxana Maracineanu)仏スポーツ相は「自身の持つ道徳的かつ個人的な責任から逃れることはできない」と、ガイアゲ会長の辞任を要求していた。

 この日会見を開いたガイアゲ会長は「大臣は私の話を聞いていないし、自身の確信に身を覆っている」とすると、「道徳的」で「この10年間アイススケート場に姿をみせていない」マラシネアヌ氏に狙いをつけられたと語った。

「辞任するには、私は何らかの過ちを犯していなければならないが、それはない」

「ジル・ベイヤーを保護したということは全くもってない」「この件の90パーセントは10日前に、報道や本で知った」とするとガイアゲ会長はまた、連盟は「性的倒錯者の集まりではない」と続け、「スケート界だけでなく、あらゆるスポーツに対して衝撃を与えた出来事だ」と語った。

 ガイアゲ会長は4日のマラシネアヌ・スポーツ相との会談後に、捜査が終了するまで辞任するかどうかの判断は下さないと語っていた。

 シベット・ヌディアイエ(Sibeth N'Diaye)政府報道官は、マラシネアヌ・スポーツ相を支持するとともにガイアゲ会長には「道徳的責任がある」と述べ、理事会には「連盟を正しく運営する状況にない」と強調。このヌディアイエ氏の発言の後、FFSGの理事16人のうち4人が辞任したものの、他の12人はガイアゲ会長に追随して捜査の終結を待つことを決めている。

 ガイアゲ会長は1998年にFFSGのトップに就任し、同国のアイススケート界の重鎮として君臨。その後は、2002年のソルトレークシティー冬季五輪での判定スキャンダルで国際スケート連盟(ISU)から3年間の活動停止を科された04年から07年以外は、会長の座に就き続けている。(c)AFP