【2月5日 AFP】ホタルの多くの種が、生息地の減少や人工光による公害、観光などが原因で絶滅の危機に直面しているとの研究結果が3日、米専門誌「バイオサイエンス(BioScience)」で発表された。世界のホタル種の現状に関する大規模調査は今回が初めて。

 甲虫類の仲間であるホタルは2000種以上存在し、世界各地の湿地、沼地、草原、森林、都市公園などを照らしている。

 だが、英イングランド南部に生息するツチボタル、一斉に点滅を繰り返すマレーシアのプテロプティックス・テナー、米アパラチア山脈(Appalachian Mountains)のブルーゴーストなどさまざまなホタル種が、人間の活動範囲の拡大により絶滅の危機に追い込まれている。

 専門家らは、絶滅の要因として考えられる10項目のうち、東アジアと南米を除く世界各地では、生息地の減少が最大の脅威となっていると指摘している。

 例えば、マレーシアのプテロプティックス・テナーは、幼虫の間は川辺のマングローブに生息している。だがマングローブ林の多くは、パーム油のプランテーションや養魚場をつくるために伐採されてしまった。

 一方、東アジアと南米では、人工光がホタルにとって最大の脅威とされている。

 論文の共同執筆者で、米タフツ大学(Tufts University)博士課程学生のアバロン・オーエンス(Avalon Owens)氏は「光害は自然のバイオリズムを乱すだけでなく、ホタルの求愛行動を台無しにしてしまう」と説明した。

 ホタル種の多くは、光ることによって繁殖相手にアピールしている。また、成虫である期間が限られていることが、問題をさらに深刻化させている。ホタルの幼虫期は数か月から数年続くが、成虫の寿命は通常わずか数日しかない。

 観光も脅威の一つだ。ホタルの光は、人々を魅了してやまず、日本、マレーシア、台湾ではホタル観賞が長年人気を集めている。だが、過剰な観光客の流入により脆弱(ぜいじゃく)な生態系が損なわれ、ホタルに大きな打撃を与えている。

 さらに今回の調査では、広く使用されている殺虫剤がホタルにとって3番目に大きな脅威となっていることも分かった。

 今回の研究に参加した12人の論文執筆者は、2018年に設立された国際自然保護連合(IUCN)ホタル専門家部会(Firefly Specialist Group)に所属している。IUCNは絶滅危惧種をまとめた「レッドリスト(Red List of Threatened Species)」を編さんしている。(c)AFP/Marlowe HOOD