【2月20日 AFP】米マサチューセッツ州の都市部から離れたあるロッジに、男性のグループ十数人が集まっていた。そのうちの一人、ルーカス・クランプ(Lucas Krump)さん(40)は、他の男性らを前に、目に涙を浮かべながら自らの胸の内を明かした──。クランプさんが参加しているのは、最近、米国人男性の間で人気が高まっているサポートグループだ。

「もうだめだと思ったことが今年は何回かあった」と、クランプさんは他の参加者たちに向かって発言した。グループの参加者らは全員、「伝統的な男性像」にうんざりしている人たちだ。

 このグループには、12人の男性が参加している。多くは20~60代の白人だ。このようなグループに、セッションや合宿という形でサービスを提供する「エブリマン(Evryman)」は、参加者が自身の心の声にしっかりと向き合えるよう手助けをする企業だ。

 自身の気持ちを家族に伝えたいが難しいと話すのは、別の参加者のマイケルさん。「悲しいし、怖い」と感じていると打ち明けた。

 エブリマンによると、参加者の数は増加し続けているという。「男性としての立ち居振る舞い」が意味すること、そしてその考え方に対する社会の変化がその背景にはあるとみられる。

 半年ほど前から参加しているというライアン・ザゴン(Ryan Zagone)さんは、「わたしは『男性』の定義が極端に限られているルイジアナ州で育った。あそこでは、狩りに行くのか、フットボールをするのかといった会話が飛び交う。(自分は)どちらもやらないので疎外感を抱いた」と話す。

「ここに来て初めて、男性のロールモデルが別にもあるということに気づいた。感情を表現すること…それは、たくましく、愛情があり、共感的で強い」

 男性性を専門とする社会学者のマイケル・キンメル(Michael Kimmel)氏は、「われわれの社会は、仕事やお金、権力などをめぐり、他の男性を潜在的な競争相手だと考える」「お互いをライバルと見なすような関係性にあると男性は孤立感を覚える」と指摘する。