【2月3日AFP】オーストラリア・ビクトリア(Victoria)州ポートランド(Portland)近郊のユーカリの森が何者かによって伐採され、この影響でコアラ数十匹が安楽死させられたほか、80匹あまりが飢えやけがの治療のため移送された。州当局は3日、この一件を「極めて悲惨な事態」と表現し、調査の開始を明らかにするとともに、伐採が意図的なものであれば責任者を追及する姿勢を示した。

 国際環境NGO「地球の友(Friends of the Earth)」は、伐採が昨年12月に行われ、コアラ数百匹が死ぬか負傷したと指摘。また、地元住民がコアラの死骸が重機で積まれているのを最近目撃し、伐採の規模が明らかになったとしている。

 オーストラリア林産品連合会(Australian Forest Products Association)によると、昨年11月に請負業者が自然保護に関する厳しい規則にのっとった伐採作業を行ったが、業者が立ち去った後、何者かがコアラがまだいたとみられる残りの木を重機で伐採したという。

 同連合会のロス・ハンプトン(Ross Hampton)会長は地元紙に対し、「誰が森を伐採したかについては不明だが、植林業者や林業関連の業者でないことは絶対に確実だ」と述べている。

 豪州の自然保護に関する法律に反する伐採によって責任を問われた場合、違反者は多額の罰金が科される可能性もある。

 現在コアラは国際自然保護連合(IUCN)の「危急種(Vulnerable)」に指定されているが、昨年から続く大規模な森林火災により豪州南東部では広範囲のコアラの生息地が焼失し、数千匹が死んだ。(c)AFP