写真に写るこの町では、カラフルな傘を作り、町に装飾するという活動を行っている。カラフルな傘は、町に優しい雰囲気をもたらす役割を担っている。
また、時には人々に降りかかる悲しみの雨を受け止め、時には、朗らかな気分を与えてくれると、町の住人は口を揃えて言っていた。
写真に写る男の子は、私がこの町を訪問した時に仲良くしてくれた二人。
私は彼らにこんな質問を投げかけた。「雨の日に傘は使わないの?」
彼らは答えた。「傘は装飾のためにしか使わない。雨の日はレインコートを着るのが普通だよ。」
はたと私は気づいた。
私の頭の中には、知らぬ間に「傘」=雨の日という方程式が根付いるということを。
「モノの使い方」に方程式なんてない。もっと自由でいい。この町のように。
作る側がどんな意図でそれを作ったとしても、使う側が「モノの方程式」に縛られずに自由な発想で活かしていけば、モノは長生できる。ちょうどこの街の傘たちのように。
この町では、傘は雨風を避けるためのものではなく、人の心を優しく癒す、一つのオブジェなのだ。

[私立駒場学園高等学校 N.H.]