【1月31日 AFP】英国憲法を構成する法典の一つで、1215年に制定され権利と自由に関する国際定義の土台となった「マグナ・カルタ(Magna Carta、大憲章)」のオリジナル写本を盗もうとして現行犯逮捕された男に対し、英南部ソールズベリー(Salisbury)の裁判所で30日、有罪の陪審評決が下った。

 マーク・ロイデン(Mark Royden)被告(47)は、ソールズベリー大聖堂(Salisbury Cathedral)に展示されていたマグナ・カルタの写本を、ガラス製の保管ケースをハンマーでたたき壊して盗もうとした。しかし、居合わせた観光客に追いかけられ、最終的に石工らの手で身柄を拘束された。

 ソールズベリー刑事法院(Salisbury Crown Court)の陪審団は、ロイデン被告に窃盗未遂と器物破損の罪で有罪の評決を言い渡した。保管ケースの修復費用は1万4466ポンド(約207万円)だという。

 裁判で検察は、「もしロイデン被告がサムライの刀を持っていたら、もっと大きな被害が出ていた」と述べていた。

 ロイデン被告はソールズベリー大聖堂にあるマグナ・カルタは複製だと思っていたとされる。1215年に配布されたオリジナル写本は4部が現存し、2部は首都ロンドンの大英図書館(British Library)に、1部がソールズベリー大聖堂に、残る1部はイングランド東部にあるリンカン大聖堂(Lincoln Cathedral)に保管されている。

 英国のジョン王(King John)の時代に国王の権限を制限するため制定されたマグナ・カルタは、自由や近代民主主義、正義、法の支配などの礎とみなされ、世界中の法制度の基本となっている。

 リチャード・パークス(Richard Parkes)裁判官は「皮肉なことに、被告が盗もうとしたマグナ・カルタでは、自由を保障された何びとも、同等の人間が法に基づいて下した判決によらずして投獄されることはないと宣言している」と陪審団に語った。量刑言い渡しは2月25日に予定されている。(c)AFP