【2月2日 Xinhua News】中国河南省(Henan)洛陽市(Luoyang)でこのほど、前漢時代の化粧箱が出土した。化粧箱は丸い容器で、内部は九つの枠に仕切られており、紅、おしろい、くし、はけといった化粧道具や身の回りのものを入れられるようになっている。容器の表面には金箔(きんぱく)が貼られ、精巧な人や神獣などがあしらわれている。化粧箱を通じて、2000年前の人々の洗練された生活を垣間見ることができる。

 同市文物考古研究院はこのほど、業務報告会を開催し、同市西工区紗廠(さしょう)路の前漢大型墓主墓室の、移動した実験室での考古学研究でまた新たな発見があり、墓の主人のそばに、美しい漆塗りの化粧箱「漆奩(しつれん)」が複数置かれていたことが分かったと発表した。

 発掘プロジェクトの責任者、潘付生(Pan fusheng)氏によると、考古学スタッフが墓の主人の足の左側と足下で丸い容器3点を発見し、きれいにしたところ、墓の主人が化粧や身支度に用いる「漆奩」であることが最終的に判明したという。

 潘氏は「これらの中で最も精巧で美しいのは『九子漆奩』だ」としている。「九子漆奩」は、九つの枠によって巧みな空間配置がなされ、省スペースであると同時に全体の美観と実用性を兼ね備えており、漆器の中でも傑作と言えるもので、墓の主人の高貴な身分を示しているという。

 同研究院の史家珍(Shi Jiazhen)院長によると、前漢時代の貴族階級は男女を問わず化粧をしていたという。彼らの化粧に対する要求は非常に高く、内部に複数の枠がある「多子奩」の作りの多様さ、独特な造形、仕上がりの美しさは、同時代の漆器製作の技術レベルを表している。(c)Xinhua News/AFPBB News