【2月19日 東方新報】中国の国務院新聞弁公室は1月下旬、2019年の全国民のエンゲル係数の平均が28.2%となり、連続8年で低下していると発表した。改革開放当初から半減したことになる。昨年、商務部が推進した消費促進20条政策が国内市場形成促進に拍車をかけたことで、中国の消費市場の全体的な安定につながり、消費構造が改善され続けていることの成果だという。

 エンゲル係数は個人消費支出に占める食品支出の割合を示すもので、収入が低いほど食費の比重が高くなることから、貧困水準の指標となっている。一般に60%より高いと貧困、40~50%が小康(そこそこ豊か)、20~30%で富裕、20%以下で極めて富裕というのが国際水準として認識されている。

 中国は改革開放以降の40年の歴史の中で、エンゲル係数を引き下げ続けることに成功。改革開放当初の平均は57.5%だったが、現在は28.2%までになった。中国共産党建党100周年を迎える2021年の目標である小康社会(そこそこ豊かな社会)の達成と、貧困家庭の根絶に近づいていることが示された。

 2019年は多様な消費が活発化し、特に人工知能(AI)、スマート家電・通信機材、化粧品などのぜいたく品がそれぞれ8.5%、12.6%伸び、社会消費小売総額が全体的に伸びた。農村は9%増で、都市部より1.1ポイント高い。オンライン小売りサービスが引き続き高成長しており、これに伴い、全国の宅配業サービス量が635億件に達した。市場の活力が増加し、2019年の国内貿易新設市場は1588万軒に上った。

 商務部が推進した消費促進政策の中で成果が目立ったものとしては、西安(Xi’an)の大唐不夜城や杭州(Hangzhou)の湖濱路(Hubin Road)などの歩行天国ショッピング街を5か所完成させたほか、6か所のショッピング街の改造が挙げられる。この11か所だけで年間の歩行者数は延べ9億人を超え、売り上げは1251億元(約1兆9641億円)に上ったという。

 一方、エンゲル係数全体は下がっているものの、東部と中西部、発展地域と貧困地域の格差はむしろ拡大しているという問題も指摘されている。特に農村へき地はその特殊性を考慮して、データに基づいた原因を分析して対応を考慮する必要があるという。

 さらにエンゲル係数は、消費習慣、収入予定時期などの関係により、必ずしも経済実力を反映していないという問題もある。広東省(Guangdong)など沿海部の経済総量、発展程度はその他の地域より高いが、エンゲル係数は必ずしも相対的に低いとはいえない。広東には美食家が多く、食品消費に金をかける家庭が多いからだ。

 こうした状況を踏まえて、さらに収入分配改革を推進し、中国経済社会の発展をさらに高次元のレベルに引き上げていく必要があるとしている。(c)東方新報/AFPBB News