【1月30日 AFP】シリア政府軍は29日、交通の要衝である同国北西部イドリブ(Idlib)県の町マーラトヌマン(Maaret al-Numan)を反体制勢力から奪還し、再度支配下に置いたと明らかにした。同地域を最後の主要拠点に置いていた反体制派にとって大きな打撃となる。

 かつて反政府運動の中心地だったマーラトヌマンは、攻勢を強める政府軍および同盟関係にあるロシア軍の空爆によりゴーストタウンと化した。監視機関によると、今回の空爆で民間人11人が死亡した。

 マーラトヌマンには首都ダマスカスと第2の都市アレッポ(Aleppo)をつなぐ幹線道路「M5」が走っている。 政府はおよそ9年にわたる内戦で崩壊寸前の経済を立て直そうと、この道路の掌握を長い間視野に入れていた。

 政府軍の報道官は「過去数日間、政府は(マーラトヌマンを含む)多くの村や町でテロリズムを排除することに成功した」と発表。さらにマーラトヌマンから北に27キロの地点にあるサラケブ(Saraqeb)にも進攻し、5か所の村を制圧したと付け加えた。

 2011年、マーラトヌマンはイドリブ県で最初に政府に対する抗議活動が始まった町の一つだった。

 国連のマーク・ローコック(Mark Lowcock)緊急援助調整官は29日、昨年12月以降、北西部で強まる政府側の攻撃を逃れようと、およそ38万8000人が避難したが、うち少なくとも2万人はこの2日間に避難した人たちだと述べた。

 AFPの現地記者は、ロシア軍の空爆の激化により、ここ数日にマーラトヌマンの北の一帯で新たに多くの民間人が脱出を試みていると伝えた。支援団体も、最近発生した激しい攻撃で約9年間続いている内戦の中でも最悪規模の被害を生み出していると警告している。(c)AFP/Alice Hackman