紅海、大気汚染と温室効果ガスの大規模発生源に 研究
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【1月29日 AFP】中東の紅海(Red Sea)の海底から出る炭化水素ガスが、大産油国であるアラブ首長国連邦(UAE)やクウェートに匹敵する排出規模で大気を汚染しているとの研究結果が28日、発表された。
紅海沿岸にはエジプト、イスラエル、ヨルダン、サウジアラビアなど複数の国のリゾートや港湾がある。紅海から漏出したガスは商船の排ガスと混ざり、人間の健康に非常に有毒な汚染物質に変化する。
世界の石油と天然ガスの埋蔵量の半数以上が存在する中東地域では、化石燃料の開発が活発で、膨大な量のガス状汚染物質が大気中に放出されている。
だが、ドイツ・マックス・プランク化学研究所(Max Planck Institute for Chemistry)の研究チームが2017年に紅海周辺で実施した遠征調査で、紅海北部上空のエタンとプロパンの大気中濃度が、この地域特有の人為的排出を考慮したとしても、予想を最大40倍上回っていることが分かった。
研究チームは、輸送、農業、バイオマスの燃焼、炭化水素発電など炭化水素ガスの排出源となる可能性のある要因を分析した。その結果、エタンとプロパンは地下にある石油と天然ガスの貯留層から漏出し、紅海の海底から湧き出ているという予想外の結論に達した。
海底から出たエタンとプロパンは海流によって海面に運ばれ、そこで商船から大量に排出されている別の温室効果ガス、亜酸化窒素(N2O)と混ざり合う。
英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)」に掲載された論文によると、混ざり合った結果生成されるガス化合物は、人間の健康に極めて有害だという。
研究チームの推算によると、海底から出るエタンとプロパンの漏出率は、UAEやクウェートなど複数の炭化水素輸出国に「匹敵する」規模だという。
海底からの漏出ガスは、強力な温室効果ガスであるメタンの新たな発生源となると、研究は指摘している。(c)AFP/Patrick GALEY