【1月29日 AFP】(写真追加)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は28日、イスラエルとパレスチナの中東和平案を発表した。欧州各国や国連(UN)は消極的な反応を示した一方で、主要イスラム国家からはパレスチナに対する裏切りだと怒りの声が上がっている。中東和平案に対する反応をまとめた。

【図解】公開された、イスラエルとパレスチナの将来の領土を示した地図

■パレスチナ自治政府

 パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長は、ヨルダン川西岸(West Bank)のラマラ(Ramallah)で各派閥や組織と会議を行った後、「いかなる形でもこの案に反対する」と表明した。

■欧州
 ジョセップ・ボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表(EU外相)は、「パレスチナとイスラエル双方の正当な希望を考慮して、協議を通じて実行可能な2国家共存による解決を模索する」という基本的な立場に基づき、EUはトランプ氏の和平案を「検討・評価する」と述べた。

 EUの大国ドイツもボレル氏と同様に、パレスチナ・イスラエル双方のバランスのとれた話し合いが必要だと述べた。

 米国と特別な関係にある英国は、トランプ氏の案に各国の中でも最も好意的な姿勢を示した。ドミニク・ラーブ(Dominic Raab)英外相は「これは多大な時間と努力を要した非常に真剣な提案だ」と述べた。

■国連
 国連は、イスラエルが西岸やガザ地区(Gaza Strip)を占領した1967年の第3次中東戦争(Six-Day War)前の境界に基づく2国家共存による解決策を見いだすべきだとの立場を維持している。

■ロシア
 ロシアは、トランプ氏の中東和平案を詳しく検討すると表明し、イスラエルとパレスチナに対して「相互に容認できる妥協案」を見いだすため直接交渉するよう呼びかけた。ミハイル・ボグダノフ(Mikhail Bogdanov)外務次官は、「米国の提案が双方に受け入れられるものかどうか分からない。関係当事者の反応を見る必要がある」と述べ、和平案に懐疑的な姿勢を示唆した。

■トルコ
 パレスチナを強力に支持するトルコの外務省は声明で、「これは2国家共存による解決を葬り去り、パレスチナの土地を奪い取る併合計画だ」として、中東和平案を激しく非難した。

■イラン
 イスラエルを承認しておらず、トランプ政権とも対立しているイランは、中東和平案は地域の安定を損なう脅威だとして強く非難した。

■ヒズボラ
 イランの支持を受け、米政府から「テロ組織」に指定されているレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ(Hezbollah)は、この中東和平案は「パレスチナ人の権利を完全に消し去ろうとする」試みに他ならないとして、「アラブの幾つかの国々が共謀し裏切らなければあり得なかった…恥ずべき動きだ」と述べた。

■ヨルダン
 ヨルダン外務省は、1967年より前の境界に基づくパレスチナ独立国家の樹立こそ「包括的かつ永続的な和平への唯一の道だ」と表明した。

■サウジアラビア
 サウジ外務省はトランプ氏の努力に「謝意」を表明し、イスラエルとパレスチナに直接協議を開始するよう促した。中東和平案に関する意見の食い違いは米国が仲介する交渉によって解決されなくてはならないとする一方で、サルマン国王(King Salman)はサウジの「パレスチナ問題とパレスチナ人の権利に対する姿勢」に変化はないと強調した。(c)AFP