コービー氏の死から見る、ロス上空自家用ヘリの危険性
このニュースをシェア
【1月28日 AFP】米ロサンゼルスの上空にはいつも警察や消防、テレビ局、観光用のヘリコプターが飛び交っている。だが渋滞で有名な道路での移動を避け、高価でも迅速に移動できるヘリコプターを日常的に使用できるのは、ひと握りの実業家やセレブのみだ。
26日にヘリコプターの墜落事故で亡くなった米プロバスケットボール(NBA)の元スーパースター、コービー・ブライアント(Kobe Bryant)氏もその一人だった。
カリフォルニア州で29年間ヘリコプターを操縦してきた、操縦士でインストラクターのフィリップ・ルスール(Philippe Lesourd)氏はAFPに対し、ブライアント氏が乗っていたシコルスキーS76(Sikorsky S76)のようなヘリコプターをレンタルするためには、1時間当たり4000ドル(約44万円)相当がかかり、「誰でも手が届くものではない」と述べた。ルスール氏によると、ヘリコプターでの移動は「交通量の多い道路を走るよりも約5、6倍早い」という。
ブライアント氏が自家用ヘリを使用し始めたのは、2006年ごろ。朝、娘たちを車で学校に送った後、ロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)のスタジアムでバスケットボールの練習をするため、北方に約65キロ離れたロサンゼルス中心街へ向かう。そしてまたニューポートビーチ(Newport Beach)に時間通りに戻り、娘たちを迎えに行っていた。
ヘリコプターならば、移動にかかる時間はたった15分。ラッシュ時の車での移動では、少なくとも2時間かかる。
ブライアント氏はかつて「家族との時間を犠牲にせずに、練習したり技術を磨いたりする方法を見つける必要があった」と語ったことがある。
ブライアント氏が亡くなった事故の原因はまだ究明されていないが、当時市内には濃い霧が立ち込めていた。
ルスール氏によると、雲の中に入ったところ操縦士が地上の視界を失い、「空間識失調」に陥ったとする説明が最も有力だという。「ヘリコプターは、車や飛行機と違って不安定だ。常に高度を制御していなければならない」と述べ、「雲の中に入ると、スキューバダイビングをしたときのように、どちらが上か下か分からなくなる」と説明した。
カリフォルニアは、米国の全州の中で最もヘリコプター事故が多い。公式統計によれば、2007〜2016年に177件の事故が記録されている。
一方で米国全体の統計では、ヘリコプターの飛行時間10万時間当たりの死亡率は0.82%で、飛行機よりも通常は安全とされている。昨年24回発生したヘリコプター事故での死者数は計55人だった。
しかし、ヘリコプターの安全性を追求する米団体の統計によると、自家用ヘリコプターはそれ以外のヘリコプターと比べて飛行実績が最悪で、過去10年間にわたる全部門のヘリコプターを合わせた飛行時間のうち自家用ヘリコプターは3%しか占めていないにもかかわらず、死亡事故では26%を占めている。(c)AFP/Laurent BANGUET