【1月24日 AFP】米投資家で慈善活動家のジョージ・ソロス(George Soros)氏は23日、世界で「独裁者とその予備軍」がますます支配力を拡大し、気候変動にも悩まされる中で、市民社会の衰退と闘う新たな大学間連携プロジェクト「オープン・ソサエティー大学ネットワーク(OSUN)」を資金10億ドル(約1100億円)で立ち上げると発表した。

 スイスのダボス(Davos)で開催中の世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)で講演したソロス氏は、人類は転換期に立たされており、今後数年のうちにドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領や中国の習近平(Xi Jinping)国家主席のような支配者の運命が決まると指摘。「われわれは、歴史が変わる瞬間を生きている。開かれた社会は存続の危機にさらされており、より重大な危機、すなわち気候変動にも直面している」と述べた。

 その上で、OSUN計画について「私の人生で最も重要なプロジェクト」だとして、世界中にある既存の大学が参加可能な、教育・研究の国際的なプラットホームとなると説明。「質の高い教育を必要とする場」や、難民や受刑者、少数民族ロマ(Roma)やミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)といった「なおざりにされてきた人々」に支援の手を差し伸べることを目指すと語った。

 ソロス氏は今回のプロジェクトについて、開かれた社会がこれまでになく危機にさらされている時に必要とされると話している。

 ソロス氏は祖国ハンガリーに中央ヨーロッパ大学(CEU)を創設。だが同国のオルバン・ビクトル(Orban Viktor)首相率いる政権から圧力を受け、国外への移転を強いられていた。(c)AFP/Stuart WILLIAMS