【1月24日 AFP】米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ(Bulletin of the Atomic Scientists)」は23日、人類による地球破壊までの残り時間を比喩的に示す「終末時計(Doomsday Clock)」が残り100秒と発表した。1947年に設置されて以来、残り時間は最短となった。

 過去最短となった終末時計は、気候変動や核戦争の懸念の高まりにより、人類に対する危機が過去最悪の水準に至ったことを示している。

 危険水準は、ディープフェイク(人工知能など高度な技術を使って偽造された)動画や音源、宇宙の軍事化、極超音速兵器の開発をはじめとする破壊的な技術と情報戦争により悪化した。

 同誌のレイチェル・ブロンソン(Rachel Bronson)社長兼最高経営責任者(CEO)は発表で、「世界が終末にどれだけ近づいているかを示すのに、われわれは今回、時間や分ですらなく、秒を使っている」と指摘した。

 核兵器問題に詳しいシャロン・スクアッソーニ(Sharon Squassoni)氏は、過去半世紀以上にわたり破滅からの回避に貢献してきた軍縮管理の枠組みは現在、崩されており、来年には消滅する恐れもあると言明した。米国とロシアは2019年、中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄を通告し、同条約は失効。双方はかつて禁止されていた兵器を配備する新たな競争に入った。米国はまた、ロシアと2010年に締結した新戦略兵器削減条約、通称「新START(New START)」について、延長しない意向を示している。

 北朝鮮についてスクアッソーニ氏は、当初ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の斬新な取り組みが成果をもたらすとの希望もあったが、実質的な進展が何もなく、それどころか、北朝鮮は新たな戦略兵器の開発推進を言明していると述べた。

 映像は同誌提供。(c)AFP