【1月23日 AFP】2001年9月11日に発生した米同時多発攻撃後の「テロとの戦い」で、キューバ・グアンタナモ(Guantanamo)にある米軍基地収容所に拘束された容疑者らに米中央情報局(CIA)が実施した拷問プログラムについて、考案に携わった心理学者が正当化する発言をした。

 2976人が死亡した米同時多発攻撃の後、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の構成員と疑われた容疑者らは、グアンタナモ米軍基地に秘密裏に設置された収容所で、水責めや負荷のかかる姿勢の強制、睡眠はく奪といった厳しい尋問を受けた。

「強化尋問」と呼ばれるこの尋問手法の考案者の一人である心理学者のジェームズ・ミッチェル(James Mitchell)氏は21日、グアンタナモ米軍基地で開かれた被告らの予備審問で質問に答え、強化尋問を受けた被告のうち5人の前で全く悪びれず、「今日でもまた同じことをするだろう」と述べた。

 ミッチェル氏ともう一人の心理学者が考案に関わった強化尋問は、現在では違法な拷問として禁止されている。だがミッチェル氏は、国防を支援するために「道徳的義務感」から考案に関わったと語った。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)によると、ミッチェル氏は「米国民の命を守ることは、われわれに向かって自発的に武器を取ったテロリストたちが感じる苦痛より重要だった」「(やらなければ)自分の道徳的責任の放棄だと思えた」と述べた。実際に行われた尋問の一部には、同氏も加わったという。

 グアンタナモに収容されていた被告の一部は、これから始まる公判で、米政府による強化尋問プログラムから得られた証拠を使用することに異議を申し立てている。そのため、ミッチェル氏が証人として呼ばれた。

 CIAの強化尋問によって得られた証拠は既に裁判での使用が禁じられているが、被告らは、米連邦捜査局(FBI)が強化尋問で入手した証拠についても排除を求めている。

 グアンタナモに収容されていた被告らの裁判は、複雑な規定、運営の不手際、検察側と被告側双方からの法的駆け引きなどによって数年にわたって引き延ばされ、全員がいまだ予備審問の段階にある。(c)AFP/Sylvie LANTEAUME