【2月5日 AFP】民主派デモが続く香港で、デモ参加者を忠実に再現したフィギュアが人気を集めている。

 玩具店の棚には、コミックブックのスーパーヒーローの隣に、さまざまな大きさや形のデモ参加者フィギュアが並んでいる。このフィギュアを手掛けたのはチャーリーさん(30、仮名)とその友人で、数か月間デモに参加した経験に基づき細部にまでこだわり制作している。

 昼休みに職場の外で抗議集会を開く会社員やデモ隊を守る活動をしているおじいさん、漫画キャラクター「カエルのペペ(Pepe the Frog)」の大きなかぶり物を着けた若者らのフィギュアが、実物の6分の1の大きさで作られている。

 昼間はフリーランスのカメラマンをするチャーリーさんは「フィギュアを使って忠実に再現したい」と話す。「共感してもらえるようにできるだけ細かいところまで再現したい」「抗議活動に対する人々の関心を高めたい。フィギュアを通じて香港で何が起きているのかもっと多くの人に知ってもらいたい」

 香港では昨年6月、中国本土への容疑者の身柄引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正をきっかけに大規模デモが発生。同案は最終的に撤回されたものの、民主的自由の拡大などを求め、抗議デモが繰り返されている。

 フィギュアは、1997年の返還以来、最も深刻だといわれる抗議活動に参加する人々のさまざまな姿を表している。

 小さなヘルメットには小さな文字でスローガンが書かれ、腕には警察隊の唐辛子スプレーから身を守るためデモ参加者が使っているラップも巻かれている。警察官との小競り合いでできたすり傷を足に負っているフィギュアもある。ほぼすべてのフィギュアがガスマスクを装着している。

 パーツは、チャーリーさんらが収集しているミリタリートイのものを使ったり、3Dプリンターで出力したり、ゼロから作ったりしている。

 フィギュアは1体約900香港ドル(約1万3000円)。各種パーツは、特に中国本土を政治的に刺激しないよう、7か国で製造している。

 一部の玩具店で、デモ隊フィギュアは飛ぶように売れている。

 湾仔(Wanchai)地区のある玩具店店主は、機動隊やタクシーを破壊するデモ参加者など地下鉄駅の外で起きた衝突の様子をジオラマで再現している。

 チャーリーさんは一部の玩具店が、政治的商品の販売をやめるよう脅迫電話を受けてから、フィギュアを主にインターネットで販売している。これまでに約1000体が売れたが、利益は民主派デモの支援団体に寄付されている。

「みんなの心の癒やしになればと思っている」とチャーリーさんは語った。(c)AFP/Yan ZHAO