【1月22日 AFP】(写真追加)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は21日、スイスのダボス(Davos)で開催されている世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で演説し、「悲観的な予言ばかりする」環境保護論者らを厳しく批判した。トランプ氏はスウェーデン人高校生の環境活動家、グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さん(17)の警告を一蹴。米国で行われている弾劾裁判に対抗し、自身の実績を自賛した。

 トランプ氏の演説は、米上院で権力乱用と議会妨害をめぐる弾劾裁判が極めて重要な段階に入る直前に行われた。トゥンベリさんは、同氏の典型といえる強気の演説に耳を傾ける聴衆の中にいた。

 ダボス会議は世界の政治・産業界のエリートが集う場だが、トランプ氏の演説の大半は、米国内の聴衆に向けた選挙演説のように聞こえた。

 トランプ氏は、「われわれは、繰り返し悲観的なことばかり予言する人々や、その人々による世界の終末の予言を拒否しなければならない」と言明。地球温暖化が破滅的な影響をもたらしつつあるとする、科学的根拠に基づいた警告を切り捨てた。

 トランプ氏は、「警告を発する人々」は過去数十年にわたり、人口危機や大規模な飢餓、あるいは石油の終わりを予測してきたが間違っていたと主張。地球温暖化や環境災害が制御不能に陥っていると警告する人々を「過去の愚かな占い師の後継者」になぞらえ、地球温暖化については言及さえしなかった。

 一方でトランプ氏は「米国が、これまで世界が目にしたこともないような、素晴らしい好景気の最中にあると宣言できることをうれしく思っている」と表明した。

 これに先立ち、トゥンベリさんは気候変動との闘いに関しては「基本的に何も行われていない」と指摘。これまで世界中の多くの人々に影響を与えてきた、自身の主張を強調した。

 トゥンベリさんは落ち着いた口調で苦笑いを浮かべつつ、学校ストライキから始まった自身の活動について、大きな注目を集めてきたものの依然として具体的な変化が伴っていないことを認め、「聞いてもらえることと、何かを実際に主導することは異なる」と述べた。(c)AFP/Sebastian SMITH and Alex PIGMAN