【1月25日 CNS】「つかんで、オッケー、口のところまで持ってきて、ちょっと戻って、オッケー、ストップ」——張さんがコーラを一口飲むと、浙江大学(Zhejiang University)医学院附属第二医院(以下「第二病院」)の病室で拍手が起こった。

【動画】浙江省のまひ患者、「意識制御」で運動能力を取り戻す

 張さん(72)は2年前、自動車事故で第4頸椎(けいつい)を損傷、脊髄損傷により四肢まひとなった。リハビリによって、今では握手ができるだけでなく、飲み物を飲んだり、パンを食べたり、マージャンを打ったりすることができるようになった。ただ、これらの動作は自身の手を使って行うのではなく、「念力」を使ってロボットアームを動かして行うのだ。

 浙江大学は16日、「双脳計画」の研究成果を対外的に発表。同大学の「ブレーン・マシン・インターフェース(BMI)」研究チームと第二病院の神経外科の協力により、中国初の植え込み式BCI臨床研究が完成した。

 BMIとは、大脳と義手・義足などの外部機械の間に大脳から出す指令を直接つなぐ道をつくり、脊髄や運動神経が損傷しても大脳機能が正常に保たれている場合、脳の信号をコンピューターで解読し、外部機械を制御することができる技術だ。

 患者は大脳の信号を使って正確にロボットアームを制御し、三次元運動を実現できる。研究チームの王躍明(Wang Yaoming)さんによると、大脳表面に電極を貼りつけた従来方式に比べ、今回の研究成果は、複数の微小電極を大脳皮層に直接植え込むことにより、神経細胞が放つ信号を測定できるようになり、獲得できる信号が一層直接的で多くなった点にあるという。高齢の患者でも、複雑で効果的な運動制御が可能であることが証明されたとしている。

 将来的には、四肢まひや筋萎縮性側索硬化症、閉じ込め症候群などの重度運動障害のある患者でも、植え込み式BMI技術を応用し、外部機械の力を借り、運動能力や言語能力を取り戻すことが期待されている。(c)CNS/JCM/AFPBB News