【1月21日 AFP】中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ、Huawei)の最高財務責任者(CFO)孟晩舟(Meng Wanzhou)被告の身柄を米国へ引き渡すかどうかの審理が20日、カナダのブリティッシュコロンビア(British Columbia)州上位裁判所で開始した。

 孟被告はファーウェイ創業者の任正非(Ren Zhengfei)最高経営責任者(CEO)の長女で、米当局から詐欺罪で身柄引き渡しを求められている。米当局の要請によって同被告がカナダ・バンクーバー(Vancouver)で逮捕されて以来、カナダと中国の関係は大幅に悪化している。

 
 裁判所に到着した孟被告は何もコメントせず、「孟を解放せよ」「トランプは私たちへのいじめをやめよ」などと書かれたプラカードを掲げて米国への引き渡しに反対する支援者や報道陣の間を足早に法廷に向かった。傍聴席には被告の夫を含め中国の領事職員ら多くの人が集まった。

 孟被告が自由の身となるためには、対イラン制裁違反に関する米国の起訴内容が政治的動機によるものでカナダでは無効だという主張を、判事に納得させる必要がある。
 
 米当局は、孟被告がファーウェイとイランを拠点とする同社の関連企業スカイコム(Skycom)との関係について英金融大手HSBC銀行に虚偽の申告をし、HSBCに米国の対イラン制裁に違反するリスクを負わせたと訴えている。

 カナダの司法当局は裁判文書の中で「端的に言えば、ファーウェイに対する金融サービス提供継続を誘導するために、被告がHSBCを欺いたとする証拠がある」と述べている。孟被告は容疑を否認している。

 孟被告は保釈中で、この1年はバンクーバーに2軒ある自身の邸宅の一つに住んできた。

 カナダの司法当局はこれまでのところ、被告に対する米国の起訴内容はカナダでも犯罪を構成するとの双方可罰性を主張し、米国への引き渡しを正当とする考えを示している。審理は5日間行われる見通し。(c)AFP/Michel COMTE