【1月21日 AFP】中国で感染が拡大し、日本を含むアジア3か国でも感染者が確認されている新型コロナウイルスについて、中国政府の専門家は20日、人から人への感染を確認したと述べた。これを受け、数億人が帰省などで移動する春節(旧正月、Lunar New Year)を目前に控えた同国で大流行が起きる可能性への懸念が広がっている。

 中国中部・武漢(Wuhan)市で最初に確認された新型コロナウイルスをめぐっては、2002~03年に中国本土と香港で650人近い死者を出した重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスと似ていることから、警戒感が高まっている。国営中国中央テレビ(CCTV)によると、感染者は218人に増加。武漢での感染者はこの週末に136人の新規感染が確認され、20日には北京と上海でも初の感染例が確認された。地元保健当局によると、武漢では3人目の死者が出た。

 研究者らは感染経路の特定を急いでおり、これまで武漢にある海鮮市場が集団感染の中心と考えられてきた。しかし中国の国家衛生健康委員会(NHC)の鐘南山(Zhong Nanshan)氏はCCTVに対し、武漢市を訪れていなかった人も新型ウイルスに感染したことを指摘し、「人から人への感染があることは間違いない」と述べた。

 CCTVによると、習近平(Xi Jinping)国家主席は20日、この問題に初めて言及。国民の命を守ることが「最優先だ」とし、「断固として感染拡大を抑えるべきだ」と述べた。(c)AFP/Laurent Thomet and Eva Xiao