【1月21日 AFP】インドネシアの首都ジャカルタの裁判所で20日、反逆罪に問われているパプア人の活動家2人が、伝統衣装のペニスケースを着用して出廷した。だがペニスケースを着用しないよう命じられたことから、2人は「人種差別」だと非難した。

 公判は、2人がズボンを着用するまで審理を進めないとされたことから、こう着状態に陥った。活動家計6人に対する今回の裁判で、ペニスケースが原因で遅れが生じたのはこれで2度目。

 パプア人の伝統の頭飾りをかぶり、顔には塗料を付け、体には英語で「猿」を意味する単語を殴り書きした2人は、数時間に及ぶ交渉の後、ズボンをはくことで渋々合意した。

 活動家のうちの一人は、伝統衣装は「自身のアイデンティティーの一部」であり、「われわれは裁判所の外で人種差別の犠牲になってきた、今では法廷内で人種差別の犠牲になっている」と訴えた。

 インドネシアのパプア(Papua)州では最近数か月で暴力沙汰が数回発生。猿と呼ばれるなどの侮辱にさらされているパプア人への人種差別と、独立の機運の新たな高まりが要因の一部となり、死者が出る騒ぎも起きている。

 パプア人は民族的にはメラネシア人であり、大半がキリスト教徒で、イスラム教徒が多数を占めるインドネシアとは文化的なつながりがほとんどない。

 被告となっている6人は今年8月、首都ジャカルタの大統領府で行われた抗議デモに参加。デモではパプアの旗「モーニングスター(Morning Star)」が掲げられた。

 この旗は独立のシンボルとされ、インドネシアでは違法との扱いを受けている。

 かつてオランダの植民地だったパプア州は、独立を問う住民投票を経て、1960年代にインドネシアの支配下に入った。ただこの住民投票はごまかしにすぎないと広く見なされている。(c)AFP