【1月19日 AFP】四大大会(グランドスラム)の今季初戦、全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2020)を控えたロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)が18日、本戦開幕前に問題になった森林火災を原因とする煙霧について、コミュニケーションを改善するよう主催者側に要求した。

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 今回の全豪では、煙霧によって開催地メルボルンの大気汚染が地上最悪のレベルに達する中、予選が強行され、スロベニアのダリラ・ヤクポビッチ(Dalila Jakupovic)は激しいせきに襲われて予選の試合を棄権。英国のリアム・ブローディ(Liam Broady)は「複数」の選手がぜんそく治療薬を必要としていたと主張した。こうした状況を受け、大会はプレー中断の判断基準となる空気質レベルを設定した。

 グランドスラム優勝20回を誇るフェデラーは、情報不足が状況を悪化させたと話し、「大会と市民やメディア、ファン、選手とのコミュニケーションがカギになると思う。外にいるのは安全ではなく、ペットを屋内から出さずに窓を閉めるよう、確かに言われているのだから」とコメントした。

「コートに出るよう言われて、そこで煙やらなんやらを目にする。良い環境には見えない。基準からどれくらい離れているのか、プレーはできないのかを知りたいんだ」

 世界ランキング6位のステファノス・チチパス(Stefanos Tsitsipas、ギリシャ)も煙に苦しんだと話し、屋内コートでの練習だったにもかかわらず、「せきがたくさん出て、何時間も息がしづらかった」と明かしている。

 カナダの新星デニス・シャポバロフ(Denis Shapovalov)も、大会中に状況が悪化すれば「プレーできない」と主張し、「僕は20歳だし、この状況でプレーすることで命や健康を危険にさらしたくない」と話している。

 こうした批判の声を受けて大会主催者は同日、会場のメルボルンパーク(Melbourne Park)内に設置された複数の測定所で計測した汚染物質を基に、5段階の「空気質レベル」を設定し、それを使ってプレーを中断すべきか判断すると発表した。

 予選出場者の中には、自分たちが煙で息が詰まっていたのに、フェデラーのような影響力のあるスターが声を上げなかったと不満を漏らした選手もいる。しかしATP選手協議会(ATP Player Council)の一員でもあるフェデラーは、手を尽くしたと強調した。

「私にできるのは、事務局へ行って話すことだ。だから煙がひどかった14日も、引き続きひどかった翌15日も会いに行った」「そして『私たち全員にとって、コミュニケーションがカギになるはずだ』と伝えた。もっとなんとかしないといけない。私自身、情報が足りなかったと感じている」

「コートに出て、みんな、プレーをやめようと言うことは可能だろうか。やってみることはできるだろう。しかし大きな効果があるとは思わない。動くのは少し遅かったのかもしれないが、自分にできることがもっとあったとは思わない」 (c)AFP/Martin PARRY