【1月18日 AFP】14世紀に描かれたイタリア・ベネチア(Venice)の風景画が、ルネサンスの歴史の専門家によって発見された。運河の街として知られるベネチアを描いた絵画としてはこれまでに発見された中で最古で、当時から訪れた人々の創作力を刺激していたことがうかがえる。

 英スコットランドのセントアンドルーズ大学(University of St Andrews)の研究者であるサンドラ・トフォロ(Sandra Toffolo)氏は、イタリアの巡礼者ニコロ・ダ・ポッジボンシ(Niccolo da Poggibonsi)が1346~1350年にエルサレムを巡礼した様子を記した手書き原稿に描かれたスケッチを発見した。ダ・ポッジボンシはその際、にぎやかな港町であるベネチアを通っている。

 ペンで描かれたこのスケッチは非常に稚拙だが、教会や欄干のある宮殿、運河、ゴンドラまで描かれており、街は混雑しているように見える。

 ダ・ポッジボンシは、聖地エルサレムの他にもシリアのダマスカスや、エジプトのカイロとアレクサンドリア(Alexandria)も訪れた。スケッチが描かれた手稿は、1350年にイタリアに帰国した直後に書かれたと見られている。

 ベネチア・ルネサンスの歴史が専門のトフォロ氏は、昨年5月、今年発表予定のベネチアに関する詳細な研究に取り組んでいた際、フィレンツェ(Florence)の図書館でこの絵図を発見した。

 トフォロ氏はセントアンドルーズ大学が今月発表した声明で、「この風景画の発見は、ベネチアのイメージを理解する上で非常に重要だ。なぜならこの絵は、非常に早い時期からこの街がその時代に生きる人々を魅了していたことを示しているからだ」と述べた。(c)AFP/Franck IOVENE