【1月18日 AFP】米大リーグ(MLB)の指揮官として通算3度のワールドシリーズ制覇を誇る名将トニー・ラルーサ(Tony La Russa)氏が、シカゴ・ホワイトソックス(Chicago White Sox)の監督時代にカメラを使ったサイン盗みのシステムを構築していたと、17日にMLBの元スター投手ジャック・マクドウェル(Jack McDowell)氏が証言した。

 マクドウェル氏が米サウスカロライナ州シャーロット(Charlotte)のラジオ局WFNZに語ったところによると、ホワイトソックスの旧本拠地コミスキー・パーク(Comiskey Park)では、相手チームのサインを盗むためにラルーサ氏が考案したシステムが利用されていたという。

「1980年代後半の旧コミスキー・パークでは、サイン盗みのシステムが存在した」「センターに設置されていたゲータレード(Gatorade)の看板に照明があった。監督室には(操作するための)トグルスイッチと相手捕手にズームするカメラがあった」

 MLBでは今週、高度なサイン盗みが行われていた大スキャンダルが発覚し、4日間のうちに3人の指揮官が解任される事態に発展。今回のマクドウェル氏の主張はそうした中で行われた。

 現在75歳のラルーサ氏は、2014年に満票を獲得して米野球殿堂(Baseball Hall of Fame)入りを果たした。セントルイス・カージナルス(St. Louis Cardinals)をワールドシリーズ制覇に導いた2011年に勇退し、今はロサンゼルス・エンゼルス(Los Angeles Angels)でアドバイザーを務めている。

 ラルーサ氏は1986年シーズンの途中でホワイトソックスから解雇されており、1987年シーズン中に同球団に加入したマクドウェル氏はラルーサ氏の下でプレーしたことは一度もない。1994年までホワイトソックスで投手を務め、疑惑のシステムについて知る機会は十分にあったマクドウェル氏は、「私がこのことを告発した理由は、この状況にうんざりしているからだ」と語った。

「トニー・ラルーサ氏がこれをやり始めたんだ…。彼は今も球界にいて何十万(ドル)も稼いでいる、そうだろう?」「誰も追及しようとしない。とにかく、一部の人間をターゲットにして、他の人間の責任を問わないのは古くさいやり方だ」

 現在53歳のマクドウェル氏が当時の様子を語ったところによると、翌日に登板予定の先発投手は、ホワイトソックスの監督室でカメラが映し出した相手捕手のサインを観察し、ゲータレードの看板の照明を使って味方の打者に合図を送っていたとされている。こうした行為は、同球団が1991年に新しい球場に移転するまで続いたという。

「この昔のシステムについて私がこれまで一度も話したことがなかったのは、新しいコミスキー・パークに移転したからだ。(新球場に)それがあったか否か自分は知らなかった」「あったといううわさも耳にしたが、最初のものと同じシステムではなかったようだ」 (c)AFP