【1月17日 AFP】「目に見えないコンピューター利用」の実現を目指す米国の新興企業「モジョ・ビジョン(Mojo Vision)」が16日、装着者の視界に情報を表示するスマートコンタクトレンズを公開した。約10年にわたり極秘で開発を進めてきたもので、AR(拡張現実)ディスプレーを内蔵し、視点を動かすことで操作できる。

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 モジョ・ビジョンのドリュー・パーキンズ(Drew Perkins)最高経営責任者(CEO)は、「欲しい時に欲しい情報を入手でき、不要な時にはデータ攻めに遭ったりデータに気を取られたりすることのない、目に見えないコンピューター利用の構想をわが社は抱いている」と述べた。

 AFP記者の前で行われたデモンストレーションでは、網膜にマイクロLEDディスプレーを映し出すことで、バーチャルなテレプロンプターやナビゲーション指示など、さまざまな情報を視界に表示する仕組みが説明された。レンズ装着者は、視点を合わせることで視界に表示されたアイコンを「クリック」し、たとえば音楽プレーヤーなどを起動できる。視点をそらせば、スイッチは切れる。

 処方箋に合わせてレンズに度を入れることも可能だという。

 モジョ・ビジョンによると、商用化のめどはまだ立っていないが、米食品医薬品局(FDA)からは「画期的な」デバイスとして、黄斑変性症や網膜色素変性症などの患者を支援する医療機器として試験を行う承認を得た。このハードコンタクトレンズは、拡張画像オーバーレイ技術を用いて視力を増強することで、弱視など視覚障害者の移動や読書などを支援できる可能性もあるという。

 一方、かさばるヘッドセットを着用しなくてもリアルタイムで視野に表示させた情報にアクセスできるため、ビジネス用途にも活用できそうだ。

 モジョ・ビジョンは既に1億ドル(約110億円)の資金を調達した。同社幹部はグーグル(Google)やアップル(Apple)などの米シリコンバレー(Silicon Valley)のIT大手出身で、スマートコンタクトレンズのプロジェクトには眼鏡士や眼科医も参加している。(c)AFP