【1月18日 Xinhua News】中国陝西省(Shaanxi)の宝鶏市(Baoji)考古研究所は14日、同市ハイテク産業開発区(高新区)で2018年末から実施していた西周時代初期と戦国時代の古墓葬群の発掘調査に関する詳細報告を発表した。墓葬群からは青銅器や陶器、玉器など大量の文化財が出土した。

 同研究所の辛怡華(Xin Yihua)所長によると、2018年11月に高新区の東沙河西岸にある旭光村(Xuguang)で「提梁卣(ていりょうゆう)」と呼ばれる西周時代の青銅製の酒器が見つかり、調査によって同地区の墓葬の副葬品であったことが分かったことから、文化財保護のため緊急発掘調査を実施したという。

 今回の発掘調査では、西周初期の墓葬5基、戦国時代の墓葬3基の計8基の墓葬の発掘・整理が実施された。出土した211点(組)の器物の素材は、磁器や陶器、青銅、金、玉、骨、瑪瑙(めのう)、トルコ石など多岐にわたっていた。内訳は、原始磁器(灰釉陶器)1点、陶器15点、青銅礼器10点(うち銘文のあるもの4点)、青銅車馬器138点、玉器27点、瑪瑙串飾(めのうせんしょく)5点(組)、雑器15点(組)となっている。

 辛氏は西周墓葬について、墓葬形式と副葬品、青銅器の銘文を見る限り、被葬者は周王室に連なる姫(Ji)姓のかなり高位の貴族だったはずだと指摘。各墓葬の副葬品にもそれぞれ特徴があると述べ、M2号墓から出土した原始磁器は、同省でこれまで見つかった最も古く、最も保存状態が良いもので、南方地域からもたらされたものだとの見方を示した。M3号墓には大量の車馬器が副葬されており、M4号墓からは金箔を施した装飾品も出土した。金製品は通常、北方の草原地帯でよく見られるが、関中(陝西省渭河流域)地域の西周墓葬で見つかるのは極めて珍しいという。

 発掘により、旭光村一帯では4000~5000年前の竜山文化期には既に人類が活動しており、3000年前には西周の貴族の共同墓地が営まわれ、2500年前には秦の人々が定住していたことが明らかになった。旭光墓地の発掘は、西周・戦国時代の宝鶏市一帯と周辺地区との文化交流と交易、西周時代の地方組織の構造を研究する上で重要な意義を持つ。(c)Xinhua News/AFPBB News