■「報道が偏狭という証拠はない」

 しかし新聞各社は、その報道姿勢に対する批判に耳を傾けるそぶりを見せていない。発行部数最大のタブロイド紙の大衆紙サン(The Sun)は14日、「報道が偏狭という証拠はない」と強気の姿勢を見せた。

 この中でコラムニストのトム・スレーター(Tom Slater)氏は、「彼らは最初、ブレグジットの原因は人種差別だと言っていた。今度はメグジットの原因を人種差別だとしている」と語っている。

 それとは対照的に、中道左派の英紙ガーディアン(Guardian)のネスリン・マリク(Nesrine Malik)氏は、人種差別であるという主張とそうではないと反対する主張が対立している状況について「英国における人種差別の無言劇」と表現し、その背後にはさらに大きな問題が隠れていると指摘する。

 同氏は、「人種差別をスポーツ観戦(のよう)にするメディアの怠惰、共犯、それに自己満足について語っている暇はない」と述べ、「歴代の保守政権は常に移民排斥を強めてきた。そのようなこの国の政治風土でじわじわと進む右傾化について話している時間はないのだ」と続けた。(c)AFP/Florence BIEDERMANN