■BBCを解雇された評論家も

 2017年には、デーリー・メールがメーガン妃の家系図を入手し、メーガン妃は「将来有望!」とその紙面に書いた。ヘッドラインには「綿花奴隷から王族になったメーガン・マークル家の150年」の文字が躍っていた。

 昨年5月に息子のアーチー(Archie)ちゃんが誕生した際には、英BBCのスポーツ担当司会者で評論家のダニー・ベーカー(Danny Baker)氏が、服を着たチンパンジーと手をつなぐ一組の男女の画像をインターネットに投稿した。画像には「ロイヤルベビーの退院」との説明文が付けられていた。

 ベーカー氏は後に「ばかげた冗談」だったと釈明したが、BBCは「重大な判断ミス」を犯したとして同氏を即座に解雇した。

 英王族の人々の行為をめぐっても、激しい論争が巻き起こった。

 エリザベス女王(Queen Elizabeth II)のいとこである、ケント公爵マイケル・オブ・ケント王子(Prince Michael of Kent)の妻、マリー・クリスティーヌ王子妃(Princess Michael of Kent)は、2017年にバッキンガム宮殿(Buckingham Palace)で開催された昼食会に黒人をかたどったブラックモアのブローチを着けて出席したが、これが問題視され、後に謝罪を余儀なくされている。昼食会にはメーガン妃の姿もあったのだ。

 王子妃の行為については、このスタイルの宝飾品が、奴隷のイメージを掲げるものであり、人種差別的だと批判された。

■繰り返されるレッテル貼り

 メーガン妃の王室離脱については、物議を醸し、紆余(うよ)曲折を繰り返す英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)とメーガン妃とをもじった「メグジット(Megxit)」と一部では称されているが、離脱と人種差別とは無関係であると主張する声もある。

 だが礼儀作法の専門家であるウィリアム・ハンソン(William Hanson)氏は、「悲しいことに、メディアのやっていることは、メーガン妃の人種を問題視しているようなものだ」と話す。

 ハンソン氏は、ウィリアム王子(Prince William)と結婚した中流階級出身のキャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge)にも言及し、同妃の出身階級を取り上げるやり方と全く同じだと指摘した。

 他方でメーガン妃を擁護する人々は、他の王族メンバーと比較する不公平な報道に同妃が耐えているともしている。

 他の王族がしても否定的に報じられることのない行動でも、メーガン妃の場合には批判の対象となり、メディアからは「気難しい公爵夫人」「気まぐれ」と繰り返しレッテル貼りをされてきたというのだ。