【1月14日 AFP】干ばつに見舞われているオーストラリア南部で、野生のラクダの群れが先住民コミュニティーを脅かしていた問題で、スナイパーらがヘリコプターから駆除に当たった5日間に殺処分されたラクダは5000頭以上に上った。当局が14日、明らかにした。

【関連記事】スナイパーがラクダ最大1万頭の殺処分開始 干ばつに見舞われる豪

 サウスオーストラリア(South Australia)州の先住民の代表らによると、外来種であるラクダの極めて大きな群れが、干ばつと猛暑のため辺境の集落に入り、不足している食料や飲み水を奪おうとしたり、インフラ設備を壊したり、車の運転手らに危険をもたらしたりしていたという。

 今回ラクダの殺処分が行われた、先住民約2300人が暮らす同州北西部のアナング・ピチャンチャチャラ・ヤンクニチャチャラ(APY)のリチャード・キング(Richard King)氏はAFPの取材に対し、駆除は12日に終了したと話した。

 キング氏は14日、「動物愛護活動家らの憂慮は理解するが、地球上で最も乾燥し、人里離れた場所の一つであるこの土地における外来種の野生動物の実態については、著しく誤った情報が流布している」と指摘。

 さらに、「われわれはこの土地の管理者として、コミュニティーの貴重な水資源を守り、幼い子どもたちや高齢者、在来の動植物など皆の命を優先する形で、外来種の害獣に対処する必要がある」と説明した。

 キング氏によると、弱ったラクダは水場で動けなくなって死んでしまうことが多く、住民や在来の動物や鳥が必要とする水源を汚染してしまうという。

 同氏は「乾期が長引くと、在来種の野生生物には問題がなくても、野生のラクダにとっては極度の苦痛につながる」と述べた。

 APYの関係者らは、今回の駆除で5000頭以上のラクダが殺処分されたと話している。

 昨年はオーストラリア観測史上最も暑く、最も乾燥した年となった。深刻な干ばつで複数の町が渇水に陥り、同国南東部を焼き尽くす森林火災がさらに勢いを増している。

 ラクダは1840年代にオーストラリアの広大な内陸部を探検するために持ち込まれ、その後の60年間に最大2万頭がインドから輸入された。

 現在オーストラリアに生息する野生のラクダの個体数は世界最大とみられており、当局は同国内陸部の砂漠に100万頭以上がいると推定している。(c)AFP